2013年11月アーカイブ

第2章:新規開拓はこうやってスタートさせる

 

3:市場の選別と見込み客の洗い出し・リストアップ方法

 

三段論法ストーリーで相手のお客様の事情がより鮮明になったところで、次には対象となる市場を特定してターゲットとなる見込み客を洗い出し、優先順位をつけてリストアップする段階に入ります。

新規開拓において市場の選別と見込み客のリストアップは、大事なステップです。リストアップを通して、あらためてターゲットとする見込み客への攻略方法を深く検討することが可能となるでしょう。

 

いくら素晴らしい提案をもって新規開拓をするにしても、ターゲットとする市場やお客様を見誤るなら、うまくいかず徒労感ばかりが募ることになってしまいます。こんな事例がありました。

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<ある会社での新規開拓研修での事例>

IT系企業であるT社の新規開拓研修でのことです。

参加者の皆さんに「新規開拓を進めるのに、一番気になっているのは何か」と尋ねたところ、『ターゲット客の洗い出し』とのことでした。提案テーマを決めて、とりあえず何件かリストアップしたお客様に訪問するのですが、多くの場合アポイントや初回訪問だけで終わってしまい、新規開拓のとっかかりさえつくれないことが多いのだそうです。

そこで、リストアップ方法を尋ねたところ、業種別一覧表といった外部資料のリストが会社で用意してあって、そこから地域等に合わせてとりあえず洗い出している、とのことでした。一覧表があるので助かりますが、このままではターゲットとする見込み客のリストアップが思いつきになっているため、アプローチをかけてもうまくいかない可能性が高いのもうなずけます。実際、ロールプレイングで商談トークを確認したところ、商品の説明ばかりに終始して、お客様の事情にあった説得力あるトークはほとんど見られませんでしたし、それだけにどこか自信もなく相手の顔を伺うような言い方になっている営業担当者もいたのです。

そこで皆さんにはターゲットとする見込み客の洗い出しが新規開拓には実はとても重要なことをお話したうえで、じっくり時間をかけてあらためてリストアップの見直しをしてもらうことにしました。

その際一覧表から一件毎事前に内容を再精査して、その特性から区分けするとともに、リストアップされた見込み客について優先順位をつけ、それぞれ主力となる見込み客にあわせて新規開拓のやり方を、作戦としてシミュレーションしてもらうようにしたのです。同時に提案トークも、あらためて見込み客の「お客様の事情」によりウェートを置いたストーリーとして作り直してもらいました。そしてそのトークストーリーを基にロールプレイングでの訓練まで行いました。

するとはじめて皆さんはお客様にアプローチする段階からはっきり手ごたえを感じることが出来るようになり、ようやく新規開拓活動に熱が入ることになったのです。

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T社のように見込み客の洗い出しが思いつきになっていることで、新規開拓がうまくいっていない会社も多いのです。

ここではその市場の選別と見込み客のリストアップ方法について解説しましょう。

 

<ブログ目次>

Ⅰ.市場の選別と見込み客洗い出しのための、3つの要件と手順

Ⅱ.見込み客リストアップの手順

第一ステップ:新規開拓の対象とする顧客要件の整理

第二ステップ:その要件にあった市場の選定と見込み客リスト(一次)の収集

第三ステップ:一次情報の整理

第四ステップ:営業方法や作戦の違いによる見込み客の区分け

第五ステップ:ポテンシャル(期待成果の可能性)のランク付け

第六ステップ:アプローチの優先順位付とスケジュールに合わせたリスト化

事例:M社の新規開拓の見直し

 ここまで提案トークの作成について、こまごましたところまで解説してきました。「神は細部に宿り給う」という言い方もあるように、物事を成すためには細部にまで魂を込めることが大事でしょう。但し、枝葉の話に入り込みすぎて、大目的を見失わないように気をつけたいと思います。

 

ここでは、番外編として『作戦力』に関する新規開拓の失敗事例と成功事例を挙げます。思いつきではなく、作戦をストーリーとして描き、実践にまで落とし込んでいる営業拠点が新規開拓を成功させていることが、お分かりになると思います。提案トークも、「新規開拓作戦」の最も重要な柱とも言うべき部分と思って、まさに魂を込めて練り上げていきましょう。


<ブログ目次>

★作戦不足の失敗事例【新規開拓件数は達成したけれど・・】

―新規開拓の失敗事例:

開拓件数に固執して、業績ダウンに陥ったM社の失敗―

―新規開拓を進めても、業績アップにつながらず!―

―新規開拓の進め方の誤りとは―

―新規開拓のやり方を全面的に見直す―

 

★成功する営業拠点の違いとは【何はともあれ、作戦力を磨け!】

―新規開拓の成功事例:最優秀営業拠点、J所長の作戦力―

―営業拠点Sの活力ある組織風土と各人の動き―

J所長の作戦力の素晴らしさ!―

―うまくいっていない営業拠点の場合―

前回のブログでは、新規開拓の実践的なトークの作成方法について、基本三段論法による各論提案トークと未来第三段論法による事業(ビジョン)紹介トークについて解説しました。今回は実例紹介のセールストークについてです。実際に皆さんが想定している見込み客や提案商品サービスをイメージしながら読んでいただければと思います。

 

<「実例三段論法ストーリー」のセールストークの作成>

    「お客様満足実例シート」の作成について

最後に:提案トークとして仕上げる。

補足:適格な新規開拓提案をするために

 

ここまで新規開拓の提案ストーリーについて解説してきました。今回のブログでは、その実践的なトークの作成方法について解説したいと思います。実際に皆さんが想定している見込み客や提案商品サービスをイメージしながら読んでいただければと思います。

 

<今回ブログの目次>

―実際の提案トークの作成方法―

<「基本三段論法ストーリー」のセールストーク作成>

A:提案物がはっきりしているケース】

ステップ1:提案する商品サービスの特徴をすべて洗い出して、

                          書き出してみる。

ステップ2:洗い出された特徴を区分けする。                                        その上で訴えたい特徴の優先順位をつける。

ステップ3:その特徴から、対象とすべきお客様の要件とその考えられる事   情(ケース・場面)をすべて洗い出してみる。

ステップ4:その対象となるお客様の事情や使用場面に感情移入して、実際に提案商品を使った時に考えられる具体的なメリットや満足内容をあらためて整理する。

ステップ5:挙げられたメリットをその内容から区分けしたうえ、優先順位をつける。その理由を提案商材の特徴と使い方から簡潔に説明する。

ステップ6:全体を今一度見直し、三段論法ストーリーのセールストークとしてまとめる。

 

B:対象とする見込み客をはっきり想定している場合】

<「(未来)大三段論法ストーリー」のセールストークの作成>

ステップ1:相手のお客様の事情にあわせた『世の中の流れ』を洗い出す。

ステップ2:自社の歴史や現在の活動から、

                  自社の強みこだわり、ビジョンを整理する。

ステップ3:お客様に提供する満足内容を整理する。

ステップ4:最後に、当社の魅力を一言で表現する"殺し文句"をつくる。