第2章:新規開拓はこうやってスタートさせる
3:市場の選別と見込み客の洗い出し・リストアップ方法
三段論法ストーリーで相手のお客様の事情がより鮮明になったところで、次には対象となる市場を特定してターゲットとなる見込み客を洗い出し、優先順位をつけてリストアップする段階に入ります。
新規開拓において市場の選別と見込み客のリストアップは、大事なステップです。リストアップを通して、あらためてターゲットとする見込み客への攻略方法を深く検討することが可能となるでしょう。
いくら素晴らしい提案をもって新規開拓をするにしても、ターゲットとする市場やお客様を見誤るなら、うまくいかず徒労感ばかりが募ることになってしまいます。こんな事例がありました。
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<ある会社での新規開拓研修での事例>
IT系企業であるT社の新規開拓研修でのことです。
参加者の皆さんに「新規開拓を進めるのに、一番気になっているのは何か」と尋ねたところ、『ターゲット客の洗い出し』とのことでした。提案テーマを決めて、とりあえず何件かリストアップしたお客様に訪問するのですが、多くの場合アポイントや初回訪問だけで終わってしまい、新規開拓のとっかかりさえつくれないことが多いのだそうです。
そこで、リストアップ方法を尋ねたところ、業種別一覧表といった外部資料のリストが会社で用意してあって、そこから地域等に合わせてとりあえず洗い出している、とのことでした。一覧表があるので助かりますが、このままではターゲットとする見込み客のリストアップが思いつきになっているため、アプローチをかけてもうまくいかない可能性が高いのもうなずけます。実際、ロールプレイングで商談トークを確認したところ、商品の説明ばかりに終始して、お客様の事情にあった説得力あるトークはほとんど見られませんでしたし、それだけにどこか自信もなく相手の顔を伺うような言い方になっている営業担当者もいたのです。
そこで皆さんにはターゲットとする見込み客の洗い出しが新規開拓には実はとても重要なことをお話したうえで、じっくり時間をかけてあらためてリストアップの見直しをしてもらうことにしました。
その際一覧表から一件毎事前に内容を再精査して、その特性から区分けするとともに、リストアップされた見込み客について優先順位をつけ、それぞれ主力となる見込み客にあわせて新規開拓のやり方を、作戦としてシミュレーションしてもらうようにしたのです。同時に提案トークも、あらためて見込み客の「お客様の事情」によりウェートを置いたストーリーとして作り直してもらいました。そしてそのトークストーリーを基にロールプレイングでの訓練まで行いました。
するとはじめて皆さんはお客様にアプローチする段階からはっきり手ごたえを感じることが出来るようになり、ようやく新規開拓活動に熱が入ることになったのです。
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T社のように見込み客の洗い出しが思いつきになっていることで、新規開拓がうまくいっていない会社も多いのです。
ここではその市場の選別と見込み客のリストアップ方法について解説しましょう。
<ブログ目次>
Ⅰ.市場の選別と見込み客洗い出しのための、3つの要件と手順
Ⅱ.見込み客リストアップの手順
第一ステップ:新規開拓の対象とする顧客要件の整理
第二ステップ:その要件にあった市場の選定と見込み客リスト(一次)の収集
第三ステップ:一次情報の整理
第四ステップ:営業方法や作戦の違いによる見込み客の区分け
第五ステップ:ポテンシャル(期待成果の可能性)のランク付け
第六ステップ:アプローチの優先順位付とスケジュールに合わせたリスト化
事例:M社の新規開拓の見直し