リーダーの『新規開拓』30三章1:「市場の変化多様化に即応する『マトリックス営業戦略』」

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~市場の変化多様化にあわせて、作戦を切り替えよ!~

 

ここまで新規開拓を進める際に求められる基本的な考え方とやり方について説明してきました。しかし実際には、マーケットやお客様、提案内容によってとるべき作戦や成功するポイントは大きく変わってくることも多いはずです。

例えば、同じ新製品を持って新規開拓するにしても、大企業を対象にするのと中小零細企業では、そのやり方は全くと言っていいほど違うでしょう。あるいは提案する商品サービスが単品的なものか、お客様の事情に合わせたトータルシステム的なものか、でも違うはずです。

 そこでこの章では新規開拓の戦う土俵の違いによって変る作戦や成功ポイントについて、私の開発した戦略モデル「マトリックス営業戦略」をもとに解説したいと思います。

―市場の変化多様化を表す「マトリックス営業戦略、4つの領域」―

 次の図を見て下さい。変化多様化する市場を4つに区分けしてその違いを表したものです。縦軸は【顧客軸】として「素人←→玄人」(例えば新製品を新しい顧客に提案する場合と既存商品を既存客に提案する場合)、横軸は【商品サービス軸】として「オーダーメード対応←→レディメード対応」(例えば製品単品を提案する場合とお客様の事情にあわせて個別対応して商品サービスやシステムを提供する場合)を位置づけました。

するとそこに大きく市場特性の異なる4つの象限が現れ、その象限毎に求められる新規開拓のやり方(作戦)は大きく変わることになります。この4つの象限を私は「マトリックス営業戦略、4つの領域」と呼んでいます。

 

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★右下の象限:

<ハイスピード対応領域>・・戦略単品販売作戦

 ・素人のお客様を対象に、新しい切り口の単品製品や簡単なサービスを販売していく領域です。新製品の拡販を目的に数多くの新規顧客の開拓を目指す場合などが当てはまります。

・提案する商品サービスの魅力が鮮明なうちに、できるだけスピーディに多くの見込み客にアプローチして、競合他社に先駆け一気に市場を押さえなくてはなりません。

 ・このため営業方法は出来るだけ標準化マニュアル化する一方で、一件毎の見込み客には出来るだけ時間を掛けずに商談プロセスを簡略化し、短期間に集中的に新規開拓を進められるようにする。それがこの領域で成功する一番の条件です。

具体的な成功ポイントは次の通りです。

 

 □①対象とする顧客を決める・・・顧客特性ごとの3段論法の殺し文句を作る

            (特定した見込み客に合わせた、鮮明な提案トークの作成)

 □②簡単なプロセスで決める・・・見切り見極めを早期に行う

    (一回~三回)      標準的な営業方法を決め、ツール資料を準備する

 □③量とスピード     ・・・短期集中で動く

(三ヶ月でターゲットと売り方の見直し、

                    実行成果件数評価、日々の管理の徹底等)

 

 ・まずは、喜んでもらえる顧客を探し特定するということです。顧客を特定することができ、同様の顧客に繰り返しアプローチできるなら、その顧客特性にあわせて提案トークや商談プロセスを標準化しやすいはずですし、しなければなりません。

   (次のブログで後述しますが、この点は、新規開拓に共通の成功ポイントと言えるでしょう。)

 

★左下の象限:

<パートナーシップ対応領域>・・大型企画提案作戦

 ・素人のお客様を対象とし新しい切り口の提案までは、上記「ハイスピード対応」領域と同じですが、ここでは単品的な提案ではなく、お客様の事情に合わせたよりトータル的な提案をする領域です。「(これから)一緒にやっていきましょう」と言う言い方がぴったりでしょう。新しい大型企画の提案を掲げて優良な大型見込み客を新規開拓する場合などが当てはまります。

・また法人営業で口座開設を目指す場合、将来への大きな期待を持ってもらう会社対会社の関係を築かなければならなくなりますので、その場合もこの「パートナーシップ対応領域」の作戦が必要になるはずです。

 ・新規テーマの企画提案であるだけに、お客様を大きく巻き込んで大きな決断を促さなければなりません。そこでトップキーマン対策が大事になりますし、関連する様々な部署の上位キーマンの承認も得なければなりません。さらに商談プロセスは期間が長くなりがちであり、長期的な展開を想定したメリハリある作戦が必要になります。そのため営業方法としても、営業担当一人ではなくトップ営業を中心にした会社全体でのチームプレーが大事になるでしょう。

  具体的な成功ポイントは、次の通りです。

 

 □①トップ向け提案コンセプトづくり・・・

提案で夢と危機感の訴え、トップ向けテーマ・タイトルの工夫

 □②初めのアプローチからトップ上位者狙い、巻き込みのストーリー化

 □③トップ商談の仕掛けづくり・・・

例:展示会、トップ向けデモ・提案・説明会・商談会・・

 □④当社でも、トップ役職者を活用・・・

トップ営業との連係、関連するメンバーとの複合的チーププレー

 

 ・法人企業を対象とした新規開拓の場合、新規の取引を提案するわけですから、相手企業のトップに近い権限を持ったキーマンを説得しなければなりません。そう考えるなら、この「パートナーシップ対応」領域は法人企業向け新規開拓活動には必須の領域と言えるでしょう。

  (この点も、次のブログにてあらためて解説したいと思います。)

 

★左上の象限:

<エンジニア対応領域>・・問題解決型顧客深耕作戦

 ・経験豊かな玄人であるお客様が現在困っていることに対して、問題解決の提案を行うことによってお客様との信頼関係を勝ち得、深めていく領域です。独自な専門ノウハウを武器に、成熟市場での優良企業の新規開拓を進める場合などが当てはまるでしょう。

 ・法人企業対象の営業の場合、多くはこの「エンジニア対応領域」の部分が大きいと思います。実際の具体的な商談の相手になる方は実務的な専門家の場合が多く、また企業としてもこれまでの取引先(競合他社)としっかりした信頼関係が築かれている場合が多いでしょう。そこに新規開拓を進めなければならないのです。

 ・このため、まずは自社の専門的な強みを磨き直し、(競合他社ではできない)魅力的な問題解決のストーリーを提案できるようにすることがスタートです。但し、相手のお客様の詳細事情をしっかり聞き出し、お客様の事情にあわせた的を射た提案が出来ることがなにより大事になります。

そのためには営業担当者も専門的なソリューションノウハウを身に着けること。営業と自社の専門チームとの息の合った緻密な連携プレーも奥の場合重要になるはずです。

  具体的な成功ポイントは、次の通りです。

 

 □①成果を上げる独自な専門ノウハウと成功事例づくり・・・

(その絞り込んだ鮮明な訴え)

      及び専門ノウハウのブランド化、ブラックボックス化

 □②技術専門部隊との連携プレー・・・

お客様への技術勉強会等の仕掛け作り

 □③事前顧客情報収集の徹底とその為の人脈づくり、お客様の味方つくり・・・

    (顧客情報として:本当のキーマン、タイミング、ニーズの本質、関係者と購買条件、競合動向等)

 □④今ではなく、将来へ向けた顧客の方向と課題の鮮明化(三段論法の提案ストーリー)

   ・・顧客の期待を超える問題解決の提案を行い、商談のイニシアチブを握る。

     (発生している問題の真の原因、あるいは目指す真の解決方法を気づかせ、提

案して成約し、専門ノウハウを持って実際の成果に導くまで行う。)

 □⑤営業担当者の専門ノウハウの育成強化、ソリューションノウハウの共有化

 

★右上の象限:

<コストダウン対応領域>・・営業マンカット、徹底合理化作戦

 ・営業担当者が一件毎アプローチする新規開拓の場合、この「コストダウン対応領域」で活動しても、うまくいかないことでしょう。お客様はコストだけで新規取引を決断するとは思えないからです。しかし提案や交渉に当たってお客様からは競合他社よりはっきり「コストパフォーマンス」が高いと思われる内容でなければ、新規開拓に成功できないことも間違いありません。

 ・そこでこの領域での戦いは、商談場面以上に営業をささえるバック体制での作戦のウェイトが高いと言えるでしょう。

  具体的な成功ポイントは、次の通りです。

 

 □①営業マンは、この領域で戦わないことが原則。他の領域での戦いに移行させる

 □②営業マンを無くした、合理的な取引注文体制の整備(ネットでの自動注文など・・)

 □③営業としては、コストで勝つ商談であればあるほど、それ以上の満足価値を訴える

 □④単品提案から、お客様を巻き込む包括提案(パートナーシップ対応)に切り替える

 □⑤ネットを使った新規開拓。まず新規取引のメリットから価格と信頼性の訴求を前面に出す。

 

このように見ていくと、「4つの領域」毎での新規開拓のやり方や作戦の違いがよくわか

ると思います。その違いをはっきり意識して新規開拓をメリハリよく進められるなら、新規開拓の成功確率は飛躍的に上がるはずですし、その成果も飛躍的に高まることでしょう。

                                       以上

 

 尚、「マトリックス営業戦略」については、別途小生のブログで連載して解説しています。よろしかったら、参照してください。


追伸:

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このブログ記事について

このページは、CBC総研が2014年9月 7日 12:12に書いたブログ記事です。

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