リーダーの『新規開拓』27二章10「商談(訪問)マニュアルの作成」

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新規開拓における商談プロセスから見た課題と対策を前回解説しました。

特に新規開拓の場合、一回毎の訪問によって確実に商談プロセスをステップアップさせていくことがとても大事です。一回一回の集中力が問われるわけですが、それは全く予測不能な場面というわけではありません。繰り返し新規開拓活動を行っていくなら、そこには成功のための標準的な方法論が見えてくるはずです。

以前新規開拓は仮説検証活動であることを述べました。検証を進めていく中で、その標準化した方法論を見出していくのが、新規開拓とも言えるでしょう。

そこで今回は、特に一回毎の訪問活動に焦点を合わせた商談マニュアルについて、解説したいと思います。(マニュアルというより、実際の新規開拓の訪問の際に、事前に作成していただくことを続けていくことで、そこから標準的なマニュアルになっていく要件書について解説します。)

 

もちろん標準化した方法論と言っても、作業的にマニュアル通りにやればいいというわけではありません。マニュアルは例えば演劇の台本のようなものです。台本は共通でも、役者によって台本の解釈は変わりますし、そこで感動を生むかどうかは、どれだけ心を籠められるか、その役者次第です。

皆さんはあたかも役者になったつもりで営業活動をしてほしいと思います。

 

※但し「役者」と言っても、単に作り物を語る人、という意味ではありませんし、自分が主役になれ、ということでもありません。舞台の主役はあくまでもお客様。営業は、そのお客様を主役として盛り立て、お客様満足を提供するまでをリードする、脇役としての「役者」と思って下さい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

商談(訪問)マニュアル作成のための

          要件シート

 

[対象顧客():     商談テーマ:       時期:     相手:

商談場面:初回訪問、途中フォロー、仕掛けしくみ、提案の山場、最終折衝、(   )]

 ※重要な商談場面について事前に要件を整理していき、

そのやり方をマニュアル化します。

  特に初回訪問から継続化させる場面。展示会やキーマンへのプレゼン場面、

提案での説得場面、価格や条件交渉場面、等が考えられるでしょう。

 

1.訪問先の状況、課題(顧客の課題、商談上の課題)確認】

 ①(考えられる)訪問先の状況、「抱える課題・問題」あるいは「求め・期待」

 ②それに対する当社の提案内容()

 ③これまでの経緯と商談課題として

 ④競合状況とその他障害要因と対策予定として

 ※訪問前に、顧客の状況を整理しておくことは重要です。

  マニュアルでは、よくある状況を想定して作成します。

いくつかのケースが考えられる場合は、そのケース毎の整理が必要でしょう。

 

2.訪問目的、目標の設定

 ⑤今回の訪問目的と商談の進捗ステージ(ステップアップ目標)

   (何のために、何を行い、何をどこまで進め何を実現するのか。)

 ⑥目指す達成目標、具体的なゴールとして

  {ⅰ、提案とその受けとめ、

(○○を提案し、強い関心をひかせる。そして検討してもらえるまで持っていく。)

   ⅱ、情報収集と確認、

(○○の情報を聞き込み、○○が○○であるかどうかを確認する。)

   ⅲ、信頼関係の向上と巻き込み・味方作り

(相手の○さんに、○○していただく約束をもらう。)

   ⅳ、次への進捗(商談のステップアップ、宿題出し・もらい)、障害の除去、

    (次回、○○するための、○○を○○する。

    ○○という問題に対して、○○ということをして、○○という解決をめざす。)

   ⅴ、提案の承諾・確定、    ⅵ、販売・成約とその金額・・その他}

 ※訪問に際しての、目的と達成目標の設定をします。今日の訪問では、○○まで行う、といった感じでしょう。既存客の既存商談の場合は、お客様のスケジュールにあわせて対応する場合が多いと思いますが、新規開拓の場合、営業の我々の方からお客様をリードしなければなりません。このため一回の訪問で、どこまで商談をステップアップさせるか、はっきり心積もりしておき、そのための具体的な実行方法やトークを描いておきます。

 

3.訪問前の確認事項

 ⑦事前準備事項(ⅰ.持参するツール、資料類。ⅱ.確認すべき情報・・)

 ⑧訪問時の、商談前に確認すべき情報収集(商談相手の情報、商談上の留意点・・)

 ※訪問前に、確実に用意し、確認しておくべきことを列挙しておきます。確認すべき情報等が抜けていたら、訪問前にあらためて電話などでお客様に確認するべきでしょう。

 

4.商談ストーリー(トーク・ヒヤリング、やり取り)その他

  ⑨商談内容、提案テーマ、聞き出すこと

 ⑩商談ストーリー

            (アプローチ、プレゼンテーション、応酬、クロージング・・)

 ⑪想定される相手からの質問、反論とそれに対する回答、対応

  (特にいくつかのポイントとなるテーマの事例を活用する。)

 ⑫クロージングの落としどころ・・考えられる宿題、お客様へのお願い

 ⑬次回への展開予定として

 ⑭周辺状況調査、関連する人達との関係づくり・巻き込み、情報収集・・

 ⑮商談の成功ポイント、失敗しないポイント(障害対策のポイント)

 ※提案トークの作成方法については、以前詳細に解説しました。そのトークのストーリーを書きだします。単にトークスプリクトを作成するのではなく、どんなやり取りになるのか、イメージが膨らむようなトークストーリーがいいでしょう。

  特に初期商談の場合は、(山川式)4つの質問法」を意識した商談の流れを作ると良いでしょう。

また、商談に際してのポイントをハッキリさせておくことがなにより重要です。何を聞き出すべきなのか。その聞き出した内容(の違い、区分け)から、どんな判断をすべきなのか。そしてどんな事例を紹介し、提案すべきなのか。

反論を受けた場合でも、その際のお客様の真意はどこにあるのか。また真意によって、どんな対応をすべきなのか。

この場面の(ケースにわけた)きめ細かな対応方法のマニュアル化が、とても重要であり、それが自社の営業ノウハウの神髄になるでしょう。

 例:お客様の回答がAの場合:⇒・・・・・・・・・・

          Bの場合:⇒・・・・・・・・・・

          Cの場合:⇒・・・・・・・・・・

    成功ポイント:・・・・

    注意点:・・・・・・・・             

 

5.訪問予定時間と活動スケジュール

               (訪問先到着から退出までの時間スケジュール)

  ※時間配分も重要です。事前に余裕を持って訪問し、事前の情報収集と商談のシミュレーションを行っておくようにしたいと思います。

   また商談の佳境に入ってしまい、最後のつめの時間がなくなってしまって、商談が中途半端な状態で終わってしまうということもよくあること。最後の10分に何をするのか、次の訪問へ向けて、半死を進め約束を取り付けること。その内容ややり方をはっきり決めておくといいでしょう。

 

 例:1)訪問前にまずお客様事業所の周りを一巡して、○○の状況確認。

良い点、気になる、変わったところ(変化と経緯)、他と違うところをチェック

   2)あらためて、本日の商談のストーリーを頭の中でシミュレーション。

論理的な流れで成功イメージをストーリー化。○が○ですから、○○しましょう。反論のシミュレーションも。

   3)窓口の○さんにも、・・と気遣い。

 

6.訪問結果の成果、反省、次回への確認

 ※訪問後、すぐに振り返り、商談方法の反省と次に向けた対応方法をしっかりメモします。直接マニュアルには関係しませんが、そうした反省をビビットな意識が残っているうちに行いながら、トライ&エラーしていく癖をつける、ということです。但し、売れない理由探しではなく、どうしたらもっとうまく商談できるか、うまく売れるようになるかの知恵だしです。上司への報連相と商談レビューを踏まえて作成します。

  マニュアルとしては、反省事項や次の対応方法の例を挙げてもいいでしょう。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

                               年  月  日 

      訪問目的、成果整理シート

顧客名:      商談テーマ:

 

部門          

氏名          

商談予定日:          予定時刻     ~     商談相手:         

[商談場面:初回訪問、途中フォロー、仕掛けしくみ、提案の山場、最終折衝、(     )]

 

1.訪問先の状況、課題(顧客の課題、商談上の課題)確認】

 ①(考えられる)訪問先の状況、「抱える課題・問題」あるいは「求め・期待」

 

 


 ②それに対する当社の提案内容

 

 


 ③これまでの経緯と商談課題として

 

 


 ④競合状況とその他障害要因と対策予定として

 

 


2.訪問目的、目標

 ⑤今回の訪問目的と商談の進捗ステージ(ステップアップ目標)

 


 

 ⑥目指す達成目標、具体的なゴールとして(考えられる項目とめざす達成目標を列挙)

 

 


3.訪問前の確認事項

 ⑦事前準備事項(ⅰ.持参するツール、資料類。ⅱ.確認すべき情報・・)

 

 

 


 ⑧訪問時の、商談前に確認すべき情報収集(商談相手の情報、商談上の留意点・・)

 

 


 

4.商談での説得その他

 ⑨商談内容、提案テーマ、・・・聞き出すこと

 

 

 

 


 

 ⑩商談ストーリー(アプローチ、プレゼンテーション、応酬、クロージング・・)

 

 

 

 

 

 


 ⑪想定される相手からの質問、反論とそれに対する回答、対応

①                     ⇒

 

 

 ⑫クロージングの落としどころ・・考えられる宿題、お客様へのお願い

 

 


 ⑬次回への展開予定として

 

 


 ⑭周辺状況調査、関連する人達との関係づくり・巻き込み、情報収集・・

 

 


 ⑮商談の成功ポイント、失敗しないポイント(障害対策のポイント)

 

 

 


5.訪問予定時間と活動スケジュール

(訪問先到着から退出までの時間スケジュール)

№  時刻      実行予定内容               期待成果       

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


6.訪問結果の成果、反省、次回への確認(別途シートでもOK)

①出来たことと達成成果

 

 

 

 


②出来なかったこと、上手くいかなかったこと、

 

 

 


③得られたこと、成功ノウハウ、有効情報等

 

 

 

 

 


④反省すべき点と今後の行動改善内容

 

 

 

 

 


⑤次回までの宿題と次回までやっておくべきこと(日程も)

 

 

 

 


⑥社内に報告、連絡、相談すべきこと

 

 

 

 


⑦その他、今後に向けて           ⑧上司アドバイス

 

 


                                                     以上


次回に続く・・・


参考ブログ:

・「『実践:新規開拓を絶対成功させる』営業研修プログラムのお勧め」

     http://cbc-souken.co.jp/cbc/2012/03/post-17.html


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このページは、CBC総研が2014年7月17日 10:37に書いたブログ記事です。

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