新規開拓や新規開拓となると、提案物が先に用意されており、それを武器に活動するという形をとる場合が多いでしょう。そのため、どうしても営業としては、提案したい、話したい、という気持ちが先行してしまいがちです。
しかし、それが失敗の原因になっている場合が多いのです。実際みなさんも失敗した商談を思い浮かべてみてください。「しゃべりすぎた!」と思えることが多いのではないでしょうか。
新規開拓では、こちらから喋りまくるのではなく、いかにお客様に話させるかが、大事になっています。提案するのはお客様に話してもらえるためのきっかけづくり、ぐらいの気持ちでいいでしょう。
そこで今回は、新規開拓における「聞く営業」のやり方について解説したいと思います。
<ブログ目次>
―新規開拓に「聞く営業」が大事な理由とは―
―"聞く営業"のメリットとは―
―顧客情報収集、3つの目的4つの項目―
<1.顧客情報収集の3つの目的>
<2.4つの情報項目>
―新規開拓に「聞く営業」が大事な理由とは―
新規開拓において「聞く営業」が特に大事になる理由は、2つあります。
一つは新規開拓はテストマーケティングであると言う点です。単に新しいお客様への提案商品の売り込みではなく、活動を通して多くのお客様の事情をつかみ、市場特性をとらえてその市場にあった活動に修正し、市場シェアを高めていく。それが新規開拓の真の目的です。
ですから営業部隊としては、新規開拓を作戦として成功させるためには、調査のための"聞き込み"が大事になってくるのです。営業マンにとっても、個々の商談を成功させるためには、出会いがしらの提案ですぐ成約すると考えるより、お客様と出来るだけ交流し、そこで聞きこんだ「お客様の事情」にあわせて、あらためてより的確な提案をしていく、と考えるほうが成功する確率はより高くなるでしょう。
今一つは相手のお客様の警戒心を解くためということです。新規開拓の場合はじめてお会いするだけに、お客様は強い警戒心を持たれています。一方的に営業マンが話すだけではその警戒心を解くことは難しいでしょう。相手の「お客様の事情」をお聞きしながら"深い理解と共感"を示して交流をはかることが、警戒心を解くためになにより大事と言うことです。
―"聞く営業"のメリットとは―
新規開拓に限らず、そもそも「聞く営業」には次のようなメリットがあります。
<聞くことのメリット>
①お客様との壁を取り除き、交流のスタートを切ることが出来る。
・多くのお客様は営業マンに対して、売り込まれるのではないかという警戒心の壁を作っています。お客様は積極的に営業マンの話を聞こうとしていないと思ったほうがいいでしょう。
・ところが営業マンがお客様についての質問を投げかければ、お客様はその質問に答えなければならなくなります。質問によってお客様との交流を始めることが出来るのです。
・その場合大事なのは、売り込み意識を無くして、お客様への率直な関心と共感を持つことです。その気持ちが伝わるなら、お客様は質問に答えてくれることでしょう。逆に売り込みのための質問と思われたなら、逆に警戒心を増すだけに終わってしまう可能性も高いでしょう。
②お客様の事情の聞き込みから、お客様の見切り見極めが出来る。
・まさにテストマーケティングです。あわないお客様にいくら提案しても、無駄なだけでなく、お客様に嫌がられ、徒労感に襲われるだけです。あわないお客様は、出来るだけ早急に見極め見切ることが、新規開拓を効率的に進めるための大事な要件です。
③よりお客様の事情や関心にあった提案が出来るようになる。
提案に説得力を増すことが出来る。
・一方お聞きしたお客様の事情にぴったり合った提案が出来るなら、その提案の説得力は飛躍的に増すことになり、商談の成功確率も飛躍的に高まることでしょう。
④より深くお客様との交流をはかる事が出来、お客様を気持よくさせるとともに、信頼感や親近感を高めることが出来る。お客様との人間関係を深められる。
・喋り捲る人より、自分の話を真剣に聞いてくれる人のほうが、よほど好意を持たれることは、間違いありません。さらに言えば、自分のことをよくわかってくれると思える人を信頼したくなるのは、人のこころとして自然なことでしょう。
⑤お客様を巻き込み、リードし、コントロールすることが出来る。
・聞くというと、受け身に流される、と思われる人もいるかもしれませんが、そうではありません。むしろ質問によって、自然にお客様の関心事を自分の考えている方向に導くことが出来るのです。そのためにも、単に思いつきで質問するのではなく、お客様をリードする事前のシナリオづくりが大事になるのです。
⑥お客様に、期待した以上の大きな満足に気づいてもらえ、大きな決断を促すことが出来る。
・お客様の事情や思いを深く知るからこそ、その期待を超えた大きな提案が出来ることになります。
⑦お客様との行き違いをなくし、納得した決断をしてもらえる。
・質問をしてお客様に確認することも、営業にとってとても大事でしょう。
―顧客情報収集、3つの目的4つの項目―
では、新規開拓においては、どんな内容を聞き出せばいいのでしょうか。何のために聞くのかと言う目的を考えることがまず大事になります。次の3つの目的が考えられます。
<1.顧客情報収集の3つの目的>
①ターゲットとなる見込み顧客の的確な設定と、見極め、優先順位づけ
⇒どんな事情のお客様(市場)をターゲットにすべきか、をはっきりさせる。
又は、あわない見込み客をできるだけ速やかに見極め見切る・・ための情報収集。
②提案訴求点の鮮明化・・
⇒お客様の事情にピッタリあった提案を自信を持って行う・・ための情報収集
③営業の商談対策の明確化・・
⇒事前に障害要因等を押え、的確な対策を打って商談の成功確率を高めるための・・情報収集
お客様との交流をはかり仲良くなるための情報収集も考えられるだろう。
<2.4つの情報項目>
以上の3つの目的をもとに商談の流れに沿って情報収集すべき内容を整理すると、次の4つに区分けされるでしょう。
Ⅰ.顧客概要情報・・・まずは、お客様の実情を的確にポイントをついて理解できるように、お客様の概要とお客様を取り巻く全般的な事情や背景、経緯をしっかり聞くことから始める。お客様のことを深く知り、共感を持てるようにするとともに、表面的なニーズにとどまらない、お客様の期待を超える提案が出来るための情報収集である。
Ⅱ.ニーズ・・・ その上で、お客様は何に困っており、何を求めているのか。現状はどうなっていて、なぜ、何のために、何を、どこまで、どのように・・まで具体的に聞き出す。真の問題点と本当に求めていること(目指す目標)をつかむための各論としてのニーズ内容の情報収集である。
Ⅲ.購買関連情報・・・一方で、成約を決めていただくための条件やプロセスを確認する。どんな関与者がどんな権限を持っていて、購買にあたって、承認を得るためにどんな手続きと条件が必要とされるのか。重要な要件は洩れないように確実に聞き出すことが大事になる。
Ⅳ.商談影響要因・・・人、価格、競合、タイミング、その他ニーズと成果に関わる附帯要素が考えられるだろう。
商談を決めるその他の重要なプラスとマイナス(障害)要因を想定して、その詳細な事情を聞きだし、出来るだけ事前に先手で、かつ的確な対策が打てるようにする。
具体的な内容は次のようになります。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Ⅰ.顧客の概要(とニーズの背景となる)情報・・
・事業環境・・業界動向、販路構造、ユーザー、競合他社、エンドユーザー・・その他の重要情報
・顧客概要・・事業内容、規模、業績傾向、拠点、組織、設備、体制、
対象顧客層、商品、技術
・これまでの活動経緯、歴史、事業体質・ポリシー、成功・失敗事例・・
・今後の方針、方向、事業計画の内容。年間活動スケジュール。
関連企業とその関係、取引先
・ユーザー市場、技術動向、競合動向の今後の動き、予測とそれに対する事業課題として・・
・当社とのこれまでの関係、経緯、他社仕入先との関係。
Ⅱ.ニーズ情報・・大中小(中間項の具体的なニーズテーマとその背景の聞き出し)
・要求内容に対するこれまでの内容
(例:従来の扱い商品、開発商品、現状とこれまでやっていたこと)
・ニーズの内容、目的、原因、課題、達成目標
(困って、・・望んで・・計画予定して・・)
・制約条件、前提条件
(経緯、体制、範囲、時期納期。どれだけ、いつごろ。それはなぜ・・?)
→ニーズ自体の確認とニーズ発生の場面・状況・条件の洗い出し
・顧客満足場面の分析→だれが、いつ、どれだけ、どんな場面・場合、どんなことから、どのように、
(期待以上の満足を実現するために関連する要素は)・・問題解決型アプローチ
Ⅲ.購買条件・・購買に当たって満たすべき条件の確認
・Q(品質、仕様)、C(トータルコスト)、D(納期期限)の必要条件、十分条件
・購買手続きとその条件、購買権限・関与者、体制・役割。価格、予算、付帯条件
・購買場面と購買決定に至るプロセスの確認と分析
→購買関係者、購入決定関与者からタイムリーで的確な聞き出し、漏れのない確認。
Ⅳ.商談影響要因・・商談の成功に大きな影響を及ぼすと思われる要因、傾向
・人、組織体制
(各種キーマンと力関係、人脈、意向、案件推進体制、影響者、マイナスキーマン)
・価格
(予算の限界、単価の予定、トータル予算の範囲限界、比較商品の価格状況)
・競合(取引内容、提案内容、関係進行度合い、商談進行度合い、活動内容、営業担当等の動き・・)
・タイミング、
(案件のスケジュールと進行度、次の計画予定と今回の関係、将来展開予定)
・ニーズ要件毎の要求度合い(関心要求内容の強さ、順位)、関連ニーズの有無・内容
・顧客の同業他社の動き、競争状況、成功事例、販売構造・関係
→成功事例から成功ポイントの整理 →商談プロセスごとでの、要因と対策の設計
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
商談のステージに沿って、収集すべき情報項目は次のように考えられるでしょう。
Ⅰ.事前準備段階から初期商談段階・・・顧客概要情報、基本ニーズの情報
↓
Ⅱ.初期商談の後半から継続商談にかけて・・・核心ニーズ情報、購買関連情報
↓
Ⅲ.継続商談、見積り提案段階にかけて・・・核心ニーズ、購買関連情報、
商談影響要因情報
↓
Ⅳ.最終見積り、成約段階・・・購買関連情報(特に価格納期等の再確認)、
成約を決める重要な商談影響要因情報
基本の流れは以上になりますが、情報収集は早ければ早いほど、事前により的確な対策をタイムリーに打てることになります。ですから営業としては、常に収集すべき顧客情報を意識ながら活動することが大事になります。
以上
次回に続く・・・
参考ブログ:
・「『実践:新規開拓を絶対成功させる』営業研修プログラムのお勧め」
http://cbc-souken.co.jp/cbc/2012/03/post-17.html
追伸:
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