リーダーの『新規開拓』⑳二章6-6「価格交渉のやり方」

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  前回、競合対抗について解説しました。そこで今回は、「価格交渉」のやり方について、解説しましょう。実をいうなら新規開拓では、「価格交渉」を回避し"価格を超える期待"を与える商談から入ることが何より大事になります。そのやり方について解説しましょう。

 

 新規開拓における価格交渉の考え方

 参考:「価格交渉に勝つ20のやり方」


新規開拓における価格交渉の考え方

 

①新規開拓、新規提案は、コストでは勝てない。コスト以外の魅力を作ることが絶対条件。

 ・既存客営業では、価格が合わずに競合他社にとられることはあるだろう。しかし新規開拓でコストが合わずに取れなかった、と言う言い訳は通用しない。なぜなら、お客様はコストの魅力を求めるかもしれないが、価格が安いだけで新規の取引を始めることはないからだ。新規開拓に失敗するのは、新規で取引したいと期待させるだけの十分な当社の魅力をお客様に伝えきれなかったからである。コスト以前の話である。

・万一コスト訴求のウェートが高くて受注出来ても、ほとんどの場合利益が出ない。その後もシビアーなコスト要求されることが十分予測される。またその後すぐ競合他社にさらに低い値段で対抗されてひっくり返されてしまう可能性も高い。そうなれば疲弊戦に陥って、新規開拓をするメリットよりもデメリットばかりになってしまうだろう。

 ・故に、新規開拓のアポイントの場面から、価格訴求とは別の、強い関心を引く特徴ある提案を

  しなければならない。価格訴求で取れたアポイントでは、結局価格訴求の商談しかできなくなり、失敗する確率が大きくなってしまうはずだ。

     ×「お値段が安いので、是非お話を聞いていただけませんか」

     ○「こういった新しい、従来にない魅力あるお話ですので、是非お話しを聞いていただけませんか」

 

②「商売繁盛」に貢献できるメリットが一番の魅力になる。それがあれば、コスト競争に陥らずに済む。

例:これからの会社の発展や事業展開のお手伝いが出来る、会社を変えられる、社員のやる気を引き出すことが出来る。今後いろいろ会社としてやりたいことのお手伝いが出来る・・。お客様が増える、新しいお客様や販売先が開拓出来る、売り上げが上がる、単価が上がる。利益が出る、関連商品も売れる、新商品開発が出来る、新しい企業のイメージを訴えられる・・等

 

・新規開拓では、新しい取引をお願いするだけに、自社の紹介が大事だ。特に当社の強みこだわりを説明する中に、御社のような事情のお客様にどんな価値ある貢献が出来ているか、その実績や実例をイメージ豊かに語れることが大事なポイントになるだろう。

・何よりお客様に一番訴求しなければならないことは、これからの「商売繁盛」への貢献である。その期待こそが、お客様に新規で取引したいと思わせることになる。そこから始まるなら、たとえその後の個別商談でコスト要求が大きくとも、それを出来るだけ回避した商談を進めることが出来る。

 「お値段が一番安いわけではありませんが、お値段以上に・・御社にとって一番大事と思えるご提案であることには、自信があります。」

・次に価格だけのメリットではなく、「コストダウンに貢献する」ことを訴えることも考えられるだろう。提案の価格は高くとも、その提案商品を使用することでのコストダウンのメリットが大きければ、投資回収がどのくらいかまで示して、トータルではコストメリットがむしろ大きいと訴えることが出来る。

 例:オペレーション費用の削減。人件費・作業時間の削減。消耗品費や付帯設備製品等の削減。

 消耗品や電気・燃料費などの削減。スペースの削減・・。専門知識がいらない、操作簡単・・。

・最後に「CO2削減など環境対策になる、新しい法的要件に適応できる、事故対策になる・・」

 等の附帯メリットを訴えることも考えられるだろう。

 

③出来るだけコストの話は、最後に持っていく。はじめに自信をもってメリット満足を言い切る。

・と言ってもお客様は現状、コストについてはシビアーである。特に新しい取引先には、よりシビアーな態度を示すことは十分考えられる。本格的な説明に入る前に価格的なことを聞かれることもありうる。「うちは一番安いところとしか、取引をしていませんよ。御社はどうですか?今回のご提案の価格はいくらですか?」

そんな強気な姿勢にビビッては、いけない。あいまいな態度を取ることは、商談の障害になる可能性も大きい。そこで自信もって、まず、こう言い切る。

 「お客様、お値段のことはお任せ下さい!(メリットと比べるなら・・)うちが一番安いと思っています。またそうでなければ、これだけ売れているわけがありません。

  でも今日は、単に価格以上のメリットのあるお話なんです。その話から聞いていただきたいんです。・・・それでご興味を持っていただき、是非欲しいとなりましたら、お値段のお話しをしっかりさせていただき、お客様のご納得のいく条件でお出し出来ると思っています。・・

ですからそのメリットのお話しをこれからお話しさせていただきます。」

 

 ④それでもお客様にコストを聞かれたら、すぐその場で概算のコスト見積もりを提示できるようにしておく。

  ・以上の言い方をしても、まだ価格を知りたいと言うお客様もいるだろう。まず価格ありきの商談も多くなっている。あいまいな言い方や高い価格を言った途端に、そこで新規商談が止まってしまった、と言う話も時にあるようだ。

・このため価格についての事前準備を周到に行うことがより大事になっている。具体的には、提案商材に関して、事前にお客様の現状の取引価格や予算の確認と、販売数量の予測を行っておき、商談前に社内外で打ち合わせてコストシミュレーションや納期対応の検討をしておく。

・その場では概算の販売予測に基づき、最終見積もりではないことは確認しつつ、一定の条件での価格を提示する。もちろんお客様に次のステップに商談を進めてもいいと思ってもらえる価格である。

  「お取引量や条件によって異なりますが、例えば○○量であれば○○円、○○量ならば○○円ぐらいでは出させていただきます。但し、今後のお打合せによって、お値段の○○程度の範囲の変更もありえますが・・」

 

 ⑤但し最終見積りではギリギリの予算金額や競合価格を必ず聞き出す。

                        その詰めが勝敗を決める。

  ・競合価格やお客様の予算は、出来れば商談のはじめから掴んでおきたい。なぜなら、社内の価格対応策も先手を打って進めることが出来るからである。早めにコストダウンの目安が付くなら、その目標に向かって社内での協力も得やすいだろう。

  ・その上で、最終見積もり段階で、あらためて競合価格と最終予算を聞きだし、成約を事前に確認するようにする。

   あるいは最終決定者に、価格的に下回った提案が競合他社から出されたら、決定前に事前に自分あて教えてもらえるように、お願いする。それだけの粘り腰を出せるかどうかが、決め手になる場合も多い。

   「この商談で、是非御社にお役に立ちたいと思っています。そこでぎりぎりここまでの条件のお見積をさせていただきました。それで、若し万一、どこかからもっと条件のいいお話があったら、私にすぐ教えて頂けませんか。そうなれば、私は会社に掛け合って勉強させていただくつもりです。そのくらいの覚悟で今回の商談は考えていますので、是非○○さん、よろしくお願いいたします。」

  ・結局、価格競争になる商談であればあるほど、価格を超える情熱が勝負の決め手になる、と言うことである。新規開拓であれば、なおさらである。

 

 ⑥お客様側に味方を作り、競合・予算・真のニーズ等の有効情報を聞き出す。                              (貸しを作る)

  ・そうしたギリギリの商談をものにするためにも、お客様の側に味方を作り、社内の重要な有効情報を頂いたり、いざと言う時にちょっとしたサポートしてもらったりすることが、大きな効果につながる場合が多い。

   優秀な営業マンは、そうした関係を早期に作り上げるのが得意であるからこそ、新規開拓でも、大きな成果を上げられるのである。

 

 ⑦購買担当者ではなく、技術者や使用現場の人達を味方につけ、価格交渉に入る前に当社で購入が決定されているようにする。

  ・新規だけでなく既存客との商談でも当てはまるが、購買担当と商談を進めるかぎり、価格交渉は厳しいことになることは当然である。購買は、価格を下げることが役割だからだ。

   そこで購買担当者だけでなく、技術者や現場の責任者、キーマンを味方につけて、価格ではなくどうしても当社と取引したい、と言う関係を築くことが大事になる。

   確かに、そんな現場の支持を受けても購買で再値下げを要求される、と言う話 もよく聞くが、それでも、技術者や現場からの支持は、価格対抗の大きな武器  になることは間 違いない。

・建設資材などで図面へのスペックインをお願いする、といったことが典型例だ   ろう。

 

 ⑧先手の提案でお客様をリードし、価格以上のメリットの出る商談に持ち込む。

  ・価格交渉に陥りやすいのは、商談を相手に握られて相手ペースで進んでいる場合が多いだろう。故に、商談は当社がリードしていくようにして、相手に当社しか取引できないと言う形を作った上で、最後に価格を提示する。そうしたスタイルが取れるなら、価格交渉も当社に有利に進められるはずである。

 

 ⑦価格でしか買わない顧客には売らない。

           価格以外のメリットをわかってもらえるお客様を探す。

  ・新規開拓でよく見る問題は、なかなか開拓できないために、価格要求が強いデメリットの大きいと思われる顧客との取引をしてしまうことである。結局ばばを引くことになり、その後赤字取引に引っ張られて苦労することになる危険が大きい。

  ・新規開拓では、優良客のみを開拓するとはっきり割り切り、そうでない客はたとえ新規契約が取れる場合でも、潔く手を引くべきだろう。

 

⑩段階的価格設定、バーター作戦、相手の協力要請、包括提案、期間分割提案、戦略価格訴求等

 ・最後に、価格提案の工夫である。提案のしかたで、価格だけの条件で決まらないようにするとか、価格帯のミスマッチを取り除くために、いくつかの選択肢を持った提案をする、といった工夫は大事だ。その最後の一瞬で、勝負が決まるのである。

                    (参照:「価格交渉に勝つ20のやり方」)

 

参照「『普通の人』型リーダーが最強の組織をつくる!」より

 

価格交渉に勝つ20のやり方

 

―商談のリーダーシップ―

①絶対の自信・・ビジョン・意義価値の強調

 (「お客様満足を考えれば、むしろ絶対安いはず!と思っています。」)

②差別的付加価値づくりと価格理由の明確化、権威付け

 (商品の違いから、満足の違いの強調・・。どうしても欲しいと思わせる。

  「このように、商品が違います。ですから、満足が全然違い、こんな素晴らしい   満足をしていただけるんですよ。」・・・そして、我々も高いコストがかかっ   ているいることを伝える。)

③専門性によるブラックボックスづくり(相手はコストを知らないと思え!)

④平然と「断り」作戦・・・価格の合わない客は断る!

 (「当社の商品の良さを分かっていただけないお客様には、   

                      買っていただかなくて結構です!」

⑤プラス転換作戦・・・値段の高さを認め、それ以上のメリットを強調する

 (マイナスがあるから、プラスが強調される。

 「確かに高いです。ですから、他社にない、○○が違うんです!

                   ですから、満足が○○と違うんです!」)

⑥商談の土俵切り替え作戦

 (「お値段はお任せ下さい。しかし今回のご提案は、価格以上の大きな意義価値の   ある話なんです。(大きなメリットがあるんです。)

                   その話から聞いていただけませんか?」)

⑦お客様の協力取り付け作戦

 (「お客様に私は、こんな素晴らしい満足をご提供したいんです。ですから、どう   してもこんなお値段になってしまいました。ご予算に合わせるために、こんな    ご協力をしていただけませんか?」)

 

―商品・提案内容の工夫―

⑧目玉商品ひきつけ作戦

(超目玉商品による、全商品の低価格イメージづくり。競合品の戦略的低価格設定。モニター価格)

⑨これでもか、おまけ追加作戦

⑩抱き合わせ作戦(○○まで、セットで一緒にお付けします。それで、このお値段!安いでしょう)

⑪ポイント還元作戦(実際以上の価格メリット訴求と継続化の仕組みづくり)

⑫包括契約(年間、トータル、累積割引)作戦

⑬限定割引作戦(「今だけ、○○円」)

⑭段階的値下げ作戦

⑮3段階価格設定(トライアル価格、標準価格、憧れ高額価格、・・松竹梅の品揃え)

 

―営業の仕組み、仕掛け―

⑯徹底した事前の情報収集

(顧客の本音のニーズ、予算等の購入絶対条件、競合の弱み・見積価格、先手必勝・・)

⑰お客様との絶対的な信頼関係による味方作り・・優先的な情報提供の引き出し、決定的情報入手

⑱バーター作戦(こちらからの譲歩、相手から引き出す譲歩、相互メリットの確認)

⑲予算分散化(一回{期}ではなく、二回、三回に分けて受注)

⑳二枚、三枚腰商談体制(一般営業、リーダー、トップの三層チーム営業での対応)

 

                                                                      以上

 次回に続く・・。

  

参考ブログ:

・「『実践:新規開拓を絶対成功させる』営業研修プログラムのお勧め」

     http://cbc-souken.co.jp/cbc/2012/03/post-17.html


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このページは、CBC総研が2014年4月28日 13:36に書いたブログ記事です。

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