前回は、新規開拓における「聞く営業」の大事さと、目的に沿った顧客情報収集項目の4つの区分けについて説明しました。そこで今回は、聞く営業、特に『お客様の事情』を聞き出す際のポイントと注意点について解説したいと思います。
「お客様の事情」を聞き出すポイントと注意点
前提:商談を成功させることを目的にした聞き込みに徹する。台帳の作成、コンピューターへの登録、上司への報告のための情報収集は、役に立たない。
①営業の目的を誤らない。
「成約するため、注文をもらうため」ばかりが目的の営業になってはいけないし、「聞き込み」にもなってはいけない。
お客様にお会いするときには、まず売り込みの気持ちを無くす。そして
お客様の事情に興味と関心を持って、お役に立ちたいと言う気持ちに集中する。
その姿勢を率直に見せる。そのためには、しゃべるより聞くこと!
7割は聞くことに徹する!
②しゃべりまくらない。
聞いて、顧客の事情を確認してから、語る癖をつける。
特に商談の入り口に気をつける。こちらがしゃべりまくるところから入る
「営業マンはしゃべる人、お客様は聞く人」という立場になってしまい、その後でお客様から聞くことが難しくなってしまいやすい。
例:「最近、○○というお話をよくお聞きしますが、お客様のところでは、どうですか。
○○様は、・・について、どうお考えですか?」
「まず、ご提案の前に、お聞きしてご確認したいことがありまして・・お客様では、○○という事情については、どうなっておりますか?」
こういう入り方を、定番化する。
③聞くことは、「お客様の事情」・・
であり困っていること、求めていることである。
商品や売り込みに関することは後!
商品の感想や価格、スペック、購入条件ばかり聞くのは、こちらの売り手の都合であり、顧客は白ける。お客様の事情と考え方をよく知るために聞く。
但し、すぐ困っていることや要望を言うお客様もいる。しかしそういう場合でも、まずは余裕を持ってお客様の事情を大きく、いろいろ聞いて、大きな気持ちで共感を示すところから始める、という姿勢をもつ。
「お客様の要望は○○ですね。わかりました。それでは、それに答える前に、お客様のことを少々お聞きしたいのですが、・・・。お客様のことをよく知ってから、のほうが、より間違いのないお話(回答)が出来ると思いますので・・」
「△△と言いましても、お客様の事情によって、いろいろ変わってきます。それで、ちょっとお客様の事情をお聞きしたいのですが、・・○○については、どうなっておりますか。それでは・・については?」
④「「お客様を知りたい、そして喜んでもらいたい、お役に立ちたい!」
と言う気持ちを率直にあらわして質問する。
(マインドコントロールする。)
その気持ちをわかってもらえるような工夫や気遣いを日ごろからしておく。
また質問時に直接その気持ちを素直に語ってもいい。
例:「お客様って、すごいですね・・。○○と思いました。
それでもう少しお聞きしたいのですが、・・」
「お客様にお役に立ちたいので・・もう少しお聞きしたいのですが・・」
「私も売らんといけない立場です!」と言うのは、営業の都合であり、よほど仲の良い気心の知れた関係になった客に限る。
⑤泥臭く、リアリティを持って聞き出す。
項目的な聞き方ではなく、相手の実際の中身に入って行って、生々しいことを聞く。
「実は...」話を聞き出すこと!そのため項目的な聞き方ではなく、いかに実感を持って話してもらえるような聞き方を身につける! そのためにはこちら側が、実感や共感を持ってイメージ豊かな質問をしなければならない。
⑥大から中、中から小へ、(総論から中論、各論へ)
提案の流れと同様、質問もこの流れで進める。
(参照:「4つの質問法」・・次回のブログで解説予定)
⑦他のお客様の「実例」を投げかけて聞く。聞きにくい質問こそ、実例をつかう。
例:「つい先日も、○○というお客様がおられまして、
○○とお聞きしたのですが、
お客様は、そのことについては、どうでしょうか?
どのようにされていますか?
(そのようなお困り事は無い方がいいと思うのですが、・・お客様では、どうですか?
⑧顧客が話す内容を真剣に聞く。{確認・同意、共感}
そして、実感を持って受け止め、その感想も実感と共感を持って示す。
例:「ということは、○○ということなんですね。・・・よくわかります!」
「へえ、それはすごく・・ですね。初めて聞きました!」
⑨各論は仮説や実例を投げかけて、突っ込んで聞く。あいまいにしない。
例:「そうなりますと、○○とも考えられるんですが、○○については、お客様ではどうでしょう?たとえば、○○なんてことはありますか?
○○でもいいと思うのですが、なぜ○○になさっているのですか?
具体的なサイズは?○○ですか、○○ですか。
それは、○○ではいけないんですか?」
⑩お願いする時は、質問という形を取りながら、イエスを引き出し、はっきりお願いする。
例:「それでは、○○でよろしいと思うので・・○○をお願いしたいのですが・・。よろしいですね。」
⑪しゃべってくれない人には、こちらから共感事例を投げかけ質問する。
警戒心が強くて、いくら質問しても話してくれない人もいる。その場合は、はじめから質問ばかりしないで、こちらからお客様の事情にあわせた実例を共感持って投げかけることから始める・・。
例:「先日も、あるお客様と同じような○○の事情のお客様がありまして、○○だったのですが、○○ということで、○○・・・そこで、私もなるほど○○と感じた次第です。・・・お客様も、やはりそうなのかなと、・・・僭越ながら勝手に思ってしまいました、・・・(それで、○○様も、その通りなんでしょうか?)」
⑫聞き出す順番をストーリー化する。
例: 現在の状況と関心事→競合商品のアイテム、量、取引条件
→競合の弱み・問題点(現状の顧客の不満、要望)
→今後のお客様の方針・方向・計画予定
→具体的に当社が受注するための方法、条件
(ニーズの必要十分条件、障害要因、タイミング、人的対応)・・・
(比較的初めての客の場合は、大きな話、これからの話の事例、実例から入 る・・)
質問法:呼び水→投げかけ→突っ込み→憧れ気づかせ→商品(条件)質問・・・
⑬顧客の予想を超える提案が出来るための、情報収集を心掛ける。
このためには、その突っ込んだ具体的な仮説が重要。例:顧客が気づいていない問題点、改善事項・・。あるいは将来展望等。
※ちなみに、これからの将来展望や方針、計画に関わる情報収集と、今の具体案件に関する各論の情報収集は、はっきり異なる営業のやり方、考え方が求められるだろう。
⑭価格、細かい納入条件、競合の対応などは、はっきり具体的に聞き出す。
特に最終見積もり段階では、再確認する。当たり前の確認をしていないために、失注したケースは意外に多い。相手に聞いて確認すると言う習慣は徹底したい。
⑮商談を成功させるキーとなる情報を聞き出す。
仲良くなれた担当者なら、はっきり、どうしたら競合他社から当社が注文を獲れるのか、チャンスはどこにあるのか、そのためにはどうしたらいいのか、までを聞き出す。聞き出せる関係を作りたい。
⑯表面的な情報や嘘に気をつける。
相手によっては、表面的なことしか言えないとか、嘘を平気で言う場合もあるので、本当にそうなのかどうか、気をつける。 (情報キーマンを見誤らないこと!)
以上
次回に続く・・・
参考ブログ:
・「『実践:新規開拓を絶対成功させる』営業研修プログラムのお勧め」
http://cbc-souken.co.jp/cbc/2012/03/post-17.html
追伸:
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