リーダーの『新規開拓』⑲二章6-5「競合分析とその対抗策の検討」

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新規開拓においては、お客様は他社と取引している場合が多く、当社に他社に勝てる部分が無ければ、新規開拓に成功することは難しいでしょう。逆に言うなら、当社にお客様が取引している他社とはっきり違う強みがあって、今までにないメリットを提供できるとするなら、新規開拓を成功させることも難しくないはずです。それだけ新規開拓においては、競合他社との競争を意識した意図した作戦を組み立てることが大事になるのです。

<ブログ目次>

競合分析とその対抗策の検討

1.まず競合を知る・・・・強み・弱み・特徴の分析

2.当社と競合の位置関係・・・

3.提案方法、内容として

4.商談の違いによって異なる競合対抗の作戦内容(別紙参照)

参考:

競合対抗の考え方

競合対抗商談の12か条

 ~商談の進め方に沿って~


競合分析とその対抗策の検討

 

1.まず競合を知る・・・・強み・弱み・特徴の分析

 

 「敵を知り、己を知れば、百戦殆うからず」と孫子は言っています。まずは敵を知る事が大事になります。新規開拓をスタートする前に、想定する競合他社の調査分析をしっかり行って、勝てるシナリオを作りたいと思います。

競合情報としては、次の項目が考えられるでしょう。正確にとらえるよりも、仮説として整理していくと言うことから始めていいでしょう。

 【競合情報項目として】

  前提:競合他社の概要

       (業種業態、事業内容、業績、活動実績、保有能力、取引先、・・)

①競合商品の特徴:性能機能、デザイン、形状・大きさ、扱いやすさ・・、

 価格、供給体制、技術サポート力、品質の安定性、耐久性、さまざまな用途    への対応性、ブランド・・・

   →特に当社の提案商品と比べた弱点はどこにあるか。お客様の立場から見た課    題を整理する。

 ②商品使用の継続性(代替によるマイナス要素、プラス要素)

   →現在の商品を替えることにより、デメリットがどのくらいあるか。逆に当社の商品に変えることによるメリットがどれくらい考えられるか。比較しながら整理したい。

 ③取引関係の強度(信頼関係・・・)、販売関与者との関係

   →既存の競合他社が相手先企業と信頼関係があることは間違いない。しかし他方で、お客様が既存取引先に不満を抱いている場合も少なくない。そこに攻め込む隙がある。簡単に切り替えることが難しいならば、併売から入るという選択肢もある。

 ④具体的な人間関係、人脈の内容と強さ・弱さ(プラス、マイナス関係・・)

   →法人営業の場合は、相手先企業の購買手順や関与者が重要な要件になる。そこでの競合他社との関係がどの程度強いのか、出来れば知っておきたい。特に初期商談の場合、担当者の既存競合他社との信頼関係や新密度を知っておくことは大事になる。

 ⑤具体案件に関する、競合の動きと進行度合い

               (提案内容、訴求点、仕掛け、ポジション)

   →個別案件位に対する競合他社の動き、提案内容、商談の進み方を知っておくことも大事になる。初期商談の際に、具体的な案件に対する競合他社の動きを確認しておきたい。

 ⑥営業担当の対応力、体制、動き方(の弱点)・・・

   →営業活動の場合、最後は営業担当者の力量が大きく影響する。競合他社の営業担当者がどのくらいの力量の者なのか。確認しておきたい。

 ⑦その他・・・今後の代替可能性のタイミングと競合の動き

                       (提案、対応)の予測・・

   →今すぐの案件での取引が難しいことも多いだろう。その場合今後の案件テーマを想定して、前回の競合他社の提案内容を確認し、その提案のタイミングを聞き出すことが大事になる。

    一般論としては、競合他社が新規提案する前に、当社が競合他社では難しい魅力ある提案をしたい。競合対抗では、競合他社に一歩先んじることが、成功するための大事なポイントになるだろう。

 

2.当社と競合の位置関係・・・

 

  一方で当社の強み弱みもしっかり確認します。その際、競合他社と比べて勝っているのか、負けているのかで、その戦い方は変わってくるでしょう。

A:競合他社が、当社より間違いなく強い場合

   →現状延長の同等レベルの提案では無理であり、新規開拓の活動が全くの無駄      になる。

    故に、全く違う「新たな切り口の提案」にするか、「より大きなテーマ、包括的な提案」に切り替える。

    後者の場合、現在の状況を超える将来展望を持った、これからの提案という      ことになる。

    その場合は、相手はトップ上位者。タイミングも競合他社より先手をとって      いく。

   →大局的な作戦としては、ここでの単品的な戦いは避ける。ソフトサービスや他社周辺品を加えたトータル提案にして、戦う土俵を替える。単品提案から将来へ向けたトータル提案へ。あるいは、泥臭い営業対応による、顧客の信頼を得る作戦をとる。

 

B:当社の方が、ほぼ間違いなく強い場合

   →商品以外の要素で、参入障壁がないかどうか確認。商品提案の前に人的な関     係を深め、取引関係を拡大する抵抗要素を取り除いておく。商品力の優位       性に過信しないこと。

   →その上で、「お客様のために」を前面に押し出した、自信を持った提案を行      う。

   →但し、競合対抗のためには、会社対会社の関係を強化することが大事。営業      マン一人ではなく、チームで会社全体として丁寧にお客様に対応する。

   →マクロ的には、ターゲットとなる顧客の事情、条件をはっきりさせて、一気      にその競合を蹴落とし、市場シェア―を握ることを作戦化する。

 

C:当社、競合他社、どちらとも言えない場合

   →どんなテーマ、場面、条件において、当社の方がどんな点で優位になるの      か、その分析をって、そのケースを洗い出し、勝てる土俵で戦えるように       商談を導く。

     あるいは勝てる土俵を選択し、そこに持ちこむ。

   →同等条件であれば、切り替えのタイミングを予測して、他社より一歩先に提      案して顧客情報を詳細に聞き込み、顧客の事情や要望を超える、競合以        上に満足を期待させる提案や対応を競合に先駆けて行う。(先手必勝)

   →同等であれば、競合に勝つ差別化要素として(商品以外に・・)

    ・提案プレゼン方法 ・追加サービスなどの付加価値アップ ・人的な対抗       関係の活用

    ・サポートや営業対応体制 ・タイミング(先手必勝) ・営業対応力と情       報収集力

 

3.提案方法、内容として

 

  具体的に競合他社に勝てるシナリオを考えます。特に大事になるのは、提案の内容と方法です。いかに競合他社より当社と取引するほうが、自社にメリットあるかを鮮明に伝えられるような提案ストーリーを考えなければなりません。

 その上で、提案内容が優れていても、これまでの取引実績がある競合他社が信頼関係が強いと考えるべきでしょう。そのための対応策を考えなければなりません。これからの取引にどれだけ期待してもらえるか。

また一人のキーマンではなく、複数の関連キーマンを味方につける、少なくとも反対者をなくすような対策も必要となるでしょう。

①基本の考え方 ・競合品と比較しての「商品の機能性能の特徴」ではなく、

「お客様の事情→お客様の満足(の実現)」のストーリーを強調するほうが、説 得力が高まる。

           ×「当社の商品は、○○が従来商品とちがいます。」

           ○「お客様のような○○の事情のお客様に、従来商品では難しかった□□と言う素晴らしい満足をご提供したくて、こんなご提案をお持ちしました。今回ご提案するものは従来商品と○○が違うからこそ、□□と言う満足をご提供できるんです。・・・」

    ・相手の機能の勝っているところは、率直に認めた上、それ以上に自社商品

     の勝っているところが、お客様により高い満足を与えることを訴える。

    ・競合の弱みに対する当社の強みに着目する。逆ではない。

     但し、競合の悪口は言わない。良さを認めるほうが、逆に素直に聞いても

     らえ、説得力が増す。

 

 ②価格面で負けている(高い)場合と勝っている(安い)場合の対応の違い

  ◎負けている場合(高い):

   ・価格以上の満足の訴えを行う。高いからこそ、それ以上の価値がある。価格      的に安い競合 他社の劣っている点を指摘し、不安を高める。(安かろ        う、悪かろう・・)本当の満足は、 価格ではなく、当社が提供で         きる○○であることをわかってもらう。

      ・できれば競合他社が出て来る前に、成約を決める。但し、きめ細かなサービス等価格を超えたメリットを提供し、価格が高くともメリットがあったと思えるようにしていき、その後の取引につなげられるようにする。

  ◎勝っている場合(安い):

   ・価格の優位性を強調するのは、後にする。

    「価格以上に大きなメリットがあり、なおかつ安い!」と言うストーリーに      する。信頼を得られるような安い理由をしっかり説明し、競合と比較し        てメリットがあることを強調する。

   ・価格が安いことによる、価格以上の大きなメリットを訴える。

    例:「○○のお値段を抑えられるだけに、他に○○にお金をかけることが出       来、トータルで○○といった満足が得られる・・ことになりますよ!」

 

 ③提案のタイミング

   ・顧客の方針段階(上流工程)から、先手を打って提案し、情報収集しながら      顧客により深くはいりこんでいく。先手必勝が何より大事。

    (顧客が十分検討出来ていない方針段階のために、営業がイニシアチブを握      りやすい。

     先手で競合より当社の方が人間関係を作り、深くはいりこむことが出来る       し、当社の強い分野に商談を導いていくことが可能になる。)

   ・但し、競合相手が価格であり、お客様も価格にシビア―な場合、競合の提案価格を知ってから、提案するといったやり方もある。その場合、こちらの提案で決めてもらうような段取りが必要だろう。またその場合でも、価格の優位性だけではなく、価格を超える魅力ある提案がなにより重要であることを忘れないでほしい。

 

 ④情報収集の大事さ・・・お客様を味方につける

   ・勝つためには、何より情報収集が大事。但し、誰でも知っている情報では、      競合と比べた優位性を発揮できない。「あなただからこそ・・」と言っ        てもらえるような情報が欲しい。

   ・そのためには、日ごろからお客様と仲良くなり、信頼関係を築いて、味方に      なってもらえる関係になっていることが大事。3層営業による重層的な        人間関係づくりもそのひとつだ。

    新規開拓の場合、出来るだけ早期にお客様に気に入ってもらい、味方になってもらえる関係を作ることが大事になる。

   ・情報には2つある。

      ・今の商談に関する情報

        ・・・競合他社の提案内容や価格、要望必須条件、障害要因・・

      ・今後の方針、計画、課題と案件についての先行情報

                       「今すぐじゃあないけどね・・」

 

4.商談の違いによって異なる競合対抗の作戦内容(別紙参照)

 ・小口多数客の新規開拓

    ⇒出来るだけ初回訪問からトップキーマンに面談して、ストレートに競合他社との違いからくる、メリットを訴える。即決型営業を心掛けることがポイント。そのため、仮説として勝てる競合他社と取引している見込み客をリストアップして、事前にその情報を確認したうえで、アポ取りをするといった工夫も必要だろう。

 ・大口既存客の多数新規案件の獲得(深耕開拓)

    ⇒この場合は、新規開拓ではなく新規提案だが、既存客であるだけに、競合他社やキーマン情報は事前により正確に収集できるはずである。その正確な事前情報に基づき、競合他社より一歩勝った提案を、一歩先んじて提案し、商談のイニシアチブを握ると言うのが、定石だ。キーマンも、決断キーマンだけでなく周囲の影響キーマンをうまく味方につけておくと言うのも、ポイントだ。競合他社は従来取引であるだけに、どこか隙があるはずで、その隙を狙って入り込んでいくということである。

 ・大型商談の成約(既存、新規)

   ⇒大型商談の場合、提案内容だけでない、様々な要素が関係してくる。それだけに会社対会社の関係を早期に作り、またトップ上位者を早い段階で味方につけて、商談を優位にもっていくことがポイントだろう。その場合、従来取引先では将来の可能性が限られること、一方当社が新しい可能性をお客様企業にもたらすことが出来ることを伝え、これからへの大きな期待を抱いてもらえるような提案が重要になるだろう。

   ⇒一方でお客様が困っていて、今までの既存取引先(競合他社)では十分に対応が期待できない場合が多いだろう。そこで事前にお客様からきめ細かい「お客様の事情(お困りごとの詳細、背景、経緯、取り巻く状況、原因・・)」を聞きだし、当社の独自な専門性を発揮できる専門部隊とのチームプレーで対応する体制を取れることが大事になるだろう。

 ・小口多数多様顧客の多種多様商談

   ⇒見込み客も多数多様、提案内容も多様となると、そのままではその場の顧客にあわせた場当たり的な営業となって、成功確率も低いし、成功しても効率が著しく低いことになる。またその成功事例も場当たり的なために、横展開が難しいことだろう。

     そこで、どんな事情の顧客を対象に、どんな提案をすれば成功するのか、と言う仮説を立てて、その仮説を検証するようなやり方での新規開拓を進める。具体的には、顧客を業種等の特徴で区分けし、その区分けされた顧客毎に、お困り事、求めていることを洗い出して『お困り事(お求めごと)一覧表』を作成する。それに対して提案できる内容も整理して『一枚提案書』としてアプローチしていくと言ったやり方である。それぞれのお客様にも、仮説として投げかけると言った姿勢でいい。

例「御社のような○○の事情のお客様で、最近お聞きしたお困り事を整理してみました。御社ではどうでしょうか。・・こんなことはない方がいいとは思いますが・・・」「う~ん、確かに○○ということはあるね・・・。」「それはどんな内容なんですか・・?・・・なるほど、そういうことなんですね、よくわかります。・・・それでしたら、実はこんなやり方があるんです・・・」

そこで商談が成功し、仮説がその通りとなれば、その提案内容を絞り込んで、対象となる他の見込み客に一気にアプローチすることが可能となるだろう。

                                         

 

参考:

競合対抗の考え方

 

1.お客様と競合他社、自社自身を良く知る。

  ◎お客様の置かれている事情

   お客様の要望、困っていること、不満→求めるメリット・満足

  ◎競合他社、商品の強み・弱み、動向・・場面、ケース、お客様の種類毎

  ◎お客様から見た自社の強み・弱み・・・場面、ケース、お客様の種類毎

               ↓

         お客様のメリット・満足比較

 

2.競合の勝ちパターンに持ち込まれない。(競合の土俵に上がらない)

  競合の弱みをしっかり押える。

  ◎後発参入では、競合の土俵は避ける。

  ◎価格だけの土俵に上がらない。満足の土俵でお客様を巻き込む。

 ※競合の強みをいくら考えても、勝てない。負ける言い訳探しに陥る。

                           競合の弱みがポイント。

 

3.自分の強い土俵で戦う

  ◎他社と比べてのメリット・満足の違いは何か。それを鮮明に語れるか。

  ◎どんなメリット・満足を提供しており、それをどう訴えればよいか

  ◎どんな客、どんなニーズ、どんな場合に当社の強みを発揮できるか

 

4.先手を打つ・・事前の準備・対策を用意しておく。

  ◎競合より早く、提案する

  ◎お客様に言われる前に、こちらから玉を投げる。将来へ向けた提案を仕掛ける。

  ◎商談プロセスは出来るだけ、先手先手の先を見越した手を打つ!

 

5.自信と信念を持つ

  ◎100%は無い。強いもの(良いもの)が、いつも勝つわけではない。

  ◎仕様や価格だけの比較なら、営業マンはいらない。

  ◎絶対勝つという執念を持つ。

 

6.お客様を味方につける

  ◎日々の信頼関係に勝るものはない

              →有効情報を優先的にもらえる。協力してもらえる!

 

 

競合対抗商談の12か条

                 ~商談の進め方に沿って~

 

1.競合から逃げない。正面からぶつかる(覚悟をする)

  ・競合があるなら、事前にその調査、比較をしておく。

  ・競合の存在をまず確認する。→お客様に率直に聞いてみる。

 

2.競合を使っている理由、メリット・満足内容・成果とお客様の評価(満足・不満足)を聞き出す。

 

3.競合を絶対けなさない。まず頑張っていることを認める。

  そして、明白な良さがある場合には、それを率直に認める。

 

4.競合の良さを認めつつ、一方で競合の弱さ、問題点をあぶりだす。

 (但し、お客様がその問題点に全く気づいていない場合は、まだそこに触れないほうが良い。)

 

5.その上で、競合との違い、競合をこえる当社(商品)の強さ、良さをハッキリ示す。

 

6.そして、競合を超えるお客様のメリット・満足・成果を当社が提供でき、競合以上にお役に立てることを自信を持って訴える。

  (競合の弱さ、問題点を解決できる当社商品の良さと、その提供できる満足・。)

  ・商品の違い以上に、メリット・満足・成果の違いを強調する。

 

7.それを具体的な実例と数値実績でハッキリ示す。

 

8.ここまで来て、初めて競合の弱みと当社の強みを比較し、当社の方がお客様にとってお役に立 

  てることを熱っぽく訴える。だめを押す。

 

9.当社の考える「お客様が本当に満足されるためには、何が必要か」を語り、さ  らに当社の強み・こだわりまでのストーリーを語って、当社に対する信頼を  高めてもらう。

 

10.価格等の条件面は、競合他社の内容を確認してから提示する。

  ・競合価格を知らなければ、一か八か。知っていれば、商談を有利に進められる。

  ・価格だけの切り替えをしない。すると、次は価格だけで切り替えられてしまう。

 

11.無理に競合他社を蹴落とさずに、その穴を狙って初めは併売からお願いする  ことも考える。

  ・但し、個別商談は競合より先手を打つのが原則。

 

12.それでも断られたら、その断る理由をハッキリ聞き出す。その後あらためて  対策を考える。

  ・なぜなのかの本音を聞きだす。

   熱意を持って、お客様にお役に立つために提案していることを伝えられれば、   お客様は答えてくれる。断られても、好感を持ってもらい、後につなげる。

  ・今後の可能性を見極める。但し、一度で決まることは無いことも覚悟する。


                                    以上


 次回に続く・・。

  

参考ブログ:

・「『実践:新規開拓を絶対成功させる』営業研修プログラムのお勧め」

     http://cbc-souken.co.jp/cbc/2012/03/post-17.html


 追伸:

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このブログ記事について

このページは、CBC総研が2014年4月20日 11:11に書いたブログ記事です。

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