「頑張らない社員をつくったら、社長の負け!」日経ビジネス記事コメント

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―「経営の本質は、『名誉は皆に等しく与えられる』にある」-

 

日経ビジネス2014.1.27号『7つのクエスチョン』新日鉄住金社長、進藤考生

 「中韓勢をどう突き放すのか」より

「座右の銘は「Honor is equal(名誉は皆に等しく与えられる)」。若い時に10年間プレーしたラグビーの言葉だ。トライして得点した人もスクラムで重圧に耐えた人も、役割は違ってもチームへの貢献は同じ。だが、社内には優秀な社員・・がいる。彼らの英知を結集して経営に当たりたい。」

この言葉から、私が思ったことを書きたい。

 

―最近の社長との話:「新人採用での定着率の悪さについて」                                           それは仕方がないことなのか?―

―『成果主義人事評価制度』の「頑張った人に報いる制度」の問題点―

―「頑張ってない人」をつくったら、経営の負け!―

―個人も自分の人生(の決断)に責任を持つ!―

―経営も人に対する本質を貫いてこそ、うまくいく!

―「経営の本質は、『名誉は皆に等しく与えられる』にある」-

追伸:(人生は鏡)


 

―最近の社長との話:「新人採用での定着率の悪さについて」

それは仕方がないことなのか?―

この言葉を読んで、最近何人かの社長とお話したことを思い出した。最近は、新入社員をとっても、定着してくれるメンバーが少なく、三年で30%程度の定着率が一般的になっている。そんな中、ある社長のところは20名採用して一年後には56名しか残っていないと言う。

「入る時、こんなに大変だよと言っても、頑張りますと言うから採用した。それなのに、一年もたたないうちにすぐ辞めますと言う。今の若い奴は、何考えているか分からない。・・

でも成績の悪い奴が辞めている。だからそういう者は、むしろやめてもらったほうが会社にとっていい。」そう言って、今年も20数名の採用を決めているのだ。

またある違う社長のところは、今回若手営業マンが二人辞めることになって、同じような話になった。そこでその社長は「まあ辞めたいと言う人間は、やめればいい。大体今の若い奴は、我慢が足りない。すぐやめることを考える。そういうやつは大体仕事も出来ないから、むしろやめてもらっていい。ある程度のロスは仕方がない。

そう言いながら、毎年何人かの新人を採用することを続けている。

 

―『成果主義人事評価制度』の「頑張った人に報いる制度」の問題点―

今一つ、ぴんときたこと。それは以前、人事評価制度における「成果主義」の導入の際、よく言われた表現である。それは「成果主義は頑張った人に報いる制度である。頑張って成果を上げた人は、それに見合った待遇を。そうでないものには、それにあわせて待遇を見直す・・」と言う言い方。それは大半の場合、個人の成果を評価の判断基準にしていた。私はその当時行われていた成果主義には引っかかるものを感じて、その後『業績評価制度』について書籍や文章には、その点の問題点をいくつか挙げて解説もしたが、今回上記の言葉に、あらためてスカッと気づいたことがあった。

 

―「頑張ってない人」をつくったら、経営の負け!―

2つのことに共通して私は言いたいことがある。

それは何かと言えば、「採用してもすぐやめる人」や「頑張っていない人」をつくったら、それは経営の負けと言うことだ。辞めてもらうとか、待遇を下げる、なんていうのは、負けたという結果の後始末の話であって、そんな経営をやっていては、うまくいくわけがない。

 

実は、先ほどの二人の社長にも、ちょっと強い口調にはなってしまった。「何言ってんですか、そんな考え方では、うまくいくわけありませんよ。実際、それがどれだけ経営にロスが出ているか、考えて下さい。かなり大きなロスであることは間違いないでしょう。それはロスが出ているから問題なんじゃあなく、そもそも考え方がだめだから、経営のロスが出ているんですよ!

(だから、考えた方を変えましょう)」とストレートに申し上げた。

二人とも、聡明な経営者である。先ほどのような言い方は、やめてしまう社員に対する複雑な思い(辛さ、悔しさ、もどかしさ、情けなさ?・・)から発した言葉であっただろう。そもそも自分の言い方に多少無理があることは感じていたようである。だから、私の言いたいことも、すぐ察していただいたようだった。自分の考えに少しでも違っていれば、即座に否定する二人が、珍しく何も言わず、考えるそぶりが見えた。それで少し、私は安心した・・。

 

―個人も自分の人生(の決断)に責任を持つ!―

 もちろん「採用してもすぐやめる」ような風潮が蔓延しているし、最近は仕事に真剣に取り組めない「頑張らないで、文句ばかり言う」者が多くなっていることは十分あるだろう。

そんな傾向を見るにつけ、採用される学生や若い人達には「人生の重大な局面で自分で決めたことを、簡単に変えていたら、いい人生なんて送れるわけがない!人生は理不尽だ!だからこそ外部環境のせいにせず、自分の人生(の決断)に責任を持ってこそ、はじめて納得できるいい人生が送れる!」と私は言いたくなる。

自分の人生を自分で引き受ける覚悟がどこか曖昧になり、他人のせいになっている傾向が広がっている気がしてならない。改めて個人が自らの人生の責任を自覚した生き方が求められている。それが個人自身の人生を幸せにしてくれる、と私は信念持って言ってあげたい。(・・・なんて、恰好つけていってしまったが・・)

 

―「経営の本質は、『名誉は皆に等しく与えられる』にある」―

一方そうした状況だからこそ、経営にも個人の人生に対して同等な責任があると思えるのだ。なおさら「採用したものをしっかり定着させる」ことが大事になっているし、「みんなが頑張っていける会社をつくる」ことが大事になっている。そのことは、単に外部環境を言い訳にしないといったことでなく、人に対する経営の本質を貫くことでないか。

「すぐやめてしまう人」「頑張らない人」をつくったら、会社の責任であり、そもそも会社がうまくいくわけがない。当たり前の事実だ。そうではなく、『みんながそれぞれ頑張り、みんなが等しく、ほめたたえられる風土と体制を作っていく』(そうすれば、自然と定着率も上がっていく)。このことこそが、人に対する経営の本質だ。日経ビジネスの記事を読んで、あらためて気が付いた次第である。

 

追伸:

※こう書いていて、「人生は鏡」だなと、あらためて思った。個人が会社や外部環境のせいにして、自分の決断に責任が持てないまま、会社をすぐ辞めたり、頑張らなかったりしている姿はそのまま、経営側の、若い者のやる気の無さや生き方の覚悟(決断)の弱さ、を言い訳にして、すぐやめたり、頑張らない人間が出るのを、仕方がないとしている姿と鏡を介して一致している。苦笑い、お互い様だ。人のせいばかりで、己の覚悟がどこか消えている。だから、日本がおかしくなっているのか・・。

やっぱり逆の姿にしよう。個人は自分の人生に責任を持って、精いっぱい仕事にまい進していくことに賭けよう。会社はそうした個人一人ひとりが頑張り、誇りが持てるようにしていけるようにしよう。社員個人の人生の幸せと会社の成長発展は一致しないわけがない。それを実現させていくことこそが、経営()だ。

                                                                         以上


 追伸:


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このページは、CBC総研が2014年2月 2日 14:34に書いたブログ記事です。

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