リーダーの『新規開拓』⑬二章5-3「トータル提案から個別提案へ」

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前回、新規開拓の「初期アプローチ段階」の第一フェーズから第四フェーズまでを解説しました。

第一フェーズ:訪問直前の準備

第二フェーズ:見込み客企業到着時の確認

第三フェーズ:窓口担当者への挨拶と交流

第四フェーズ:自社紹介から、質問法によるお客様事情の聞き込み。

(提案にはいる前の情報収集。)

 

今回は、第五フェーズ以降について解説しましょう。

 

第五フェーズ:トータル提案から個別提案へ

―個別提案の前の「トータル提案」の大事さ―

  ―交流、聞き込み後での、個別提案の流れ―

第六フェーズ:次回訪問へ向けた宿題づくりと、次回日程確認

 ―実務内容の質問―

  ―取引(導入)検討へ向けた宿題づくり―

―次回日程の確認―

第七フェーズ:訪問後の情報整理とお礼のメール。

さらに次回訪問へ向けた準備

  ―お礼のメール―

  ―当日中の上司報告と社内連係―

  ―『見込み客シート』の作成と次回へ向けた対策確認―

  ―日々の新規開拓のビビットな体験を、自分のものに


第五フェーズ:トータル提案から個別提案へ

―個別提案の前の「トータル提案」の大事さ―

 ・自社紹介が終わり、交流しながらお客様の事情を確認したところで、次に提案にはいるわけですが、そこですぐいそいで個別提案に入るのは、じっとこらえて下さい。もし、その個別提案が相手のお客様の関心と少しでもずれていたなら、その時点で断られてしまう可能性が高いからです。

  そこで、まずは個別提案に入る前にトータル提案から入ります。当社で相手のお客様にご提案出来る可能性のある提案テーマを出来るだけトータルな形で見せて、質問を投げかけることによって(『投げかけ質問』)、お客様からどの提案テーマに関心があるかを聞き出すのです。

  この自社紹介からトータル提案への流れは、誰でもスムーズに出来るでしょう。出来るだけトータル提案の図やパンフレットは作っておいて下さい。

  例:

 「(会社紹介が終わって、お客様に事情を聞き出した上・・)そこで当社では、お客様のような事情のお客様が多いものですから、このようなお役立ちをしています。これを見ていただきますでしょうか。(と言って、当社のトータル提案の図表、パンフレットを見せる。)これがその全体図なんですが・・・、

この図はお客様が○○される時に必要となるトータルな項目を整理し、その項目に沿って当社としてどんなお役立ちが出来るのかを一覧にしたものです。

・・御社でも○○の場合、このようなこと(手順、スケジュール、構造構成・・)になっておりませんでしょうか。どうですか?」

と言って、ここでもお客様の事情を投げかけ聞き出す。

「ふう~ん、確かに、ここでは、○○になっていますよ。」「やはりそうなんですね。ではそこで、○○と言ったお困り事を他のお客様からはよくお聞きするのですが、・・○○といったお困り事は御社ではありませんか?」「う~ん、そうだね、確かにその○○ということはあるね。」

「なるほど、・・良くわかります。・・・それでしたら、見て下さい・・・。」

 

 ―交流、聞き込み後での、個別提案の流れ―

・そこでお客様の関心のある項目を絞り、その実情を『突っ込み質問』で聞き出し交流をさらに深めていきます。そして提案すべきテーマが絞り込まれてきたところで、『気づかせ憧れ質問』によってお客様に気付きをあたえ、その気づきのインパクトを確認した上で、はじめて次の各論の個別提案にはいるのです。この順番をしっかり身につけましょう。

 

 ※質問を使ったここでの進め方は、『山川式4つの質問法(仮称)』と呼んでいます。今後ブログで詳細に解説する予定です。

◎参考:『山川式4つの質問法』

  『呼び水質問』→『投げかけ質問』→『突っ込み質問』

                       →『憧れ気づかせ質問』

 

・各論の個別提案は、歯切れよく【基本三段論法ストーリー】で言いきった上で、あらためて相手のお客様の反応を見ながら、ここでもお客様の事情にウェートをおいた交流を進めます。

 

 ◎参考:【基本三段論法ストーリー】(顧客、商品、お客様満足)

  「お客様の事情は○○なんですね。」      (顧客)

  「それでしたら見て下さい。○○が○○になっています。

                                     (商品サービスの特徴)

これまでと○○が違います。」

   「ですから、(○○といった事情のお客様には・・)

    こんな○○と言うメリットがあり、

           ○○と喜んでいただいています。」(お客様満足の実現)

 

 

 ・ここでなにより大事なことは、相手のお客様の強い関心を引けているかどうか、しっかりその手ごたえを確認することです。初めての提案であるからこそ、相手のお客様の強い関心を引けていなければ、間違いなく商談はそこで終わってしまいます。ですから個別提案をすればいいと思わず、強い関心を引けるよう、切り口を変えながらでも鋭い提案と突っ込み質問で交流を深めていかなければなりません。

   強い関心を引けてこそ、次のステップへ向けた大きな一歩となり、次の第六フェーズでの『宿題づくり』もしやすいことでしょう。

 ・強い関心を引けているかどうかは、お客様の言動や素振りではっきりわかるはずです。

  例:

・提案している途中から、お客様の目つきが変り身を乗り出して聞き出し     た。

   ・お客様のほうで、商品やサービスの内容、さらには価格について積極的に    質問してきた。

   ・お客様のほうから、困っていること、求めていることを詳しく説明してく    れた。

   ・提案内容以上に期待していることを、お客様のほうから言い出した。

   ・お客様のほうから次はどうすればいいか、聞いてきた。次の日程も確認し    たがった。

   ・窓口の自分以外の商談のキーとなる責任者を途中から同席するよう呼んで    きた。

 

注)第一回目の訪問では、トータル提案で終わらせ、そこでお客様が関心をもった個別テーマについては、次回訪問でご提案するという段取りを取ることもあり得ます。但し、そうなると訪問工数が一日増えてしまうことになります。じっくり時間を掛けて進めていくつもりの(「パートナーシップ対応」や「エンジニア対応」の場合の)商談ならかまいませんが、「ハイスピード対応」の商談の場合では、初回商談で個別提案までは行きたいと思います。

(※「ハイスピード対応」等の商談場面の違いは、以前の小生のブログ「マトリックス営業戦略、4つの領域」の解説を参照下さい。新規開拓に関しては、今後『メリハリつけた作戦展開』の章で解説したいと思います。)

 

第六フェーズ:次回訪問へ向けた宿題づくりと、次回日程確認

 -実務内容の質問―

  ・個別提案に関心を持っていただいたところで、出来れば提案に関連した実務的な質問(商品質問)を忘れずしたいと思います。

   例:<ニーズ、購買条件、影響要因>

具体的に、どこに興味を持ってもらえたか。実際に提案内容をお客様に使っていただくとしたら、どんな使い方があるのか。どれだけ可能性があるのか。タイミングは?また購入に当たって関係する部署や人はどこの誰になるか。キーマンは?またその時の基本条件(価格、納期、品質等)は?ちなみに現在取引している会社(競合先)と商品は・・?

(※新規開拓に当たって聞くべき内容についても、今後小生のブログで解説する予定です。)

 

  ―取引(導入)検討へ向けた宿題づくり―

・その上で実際に相手に使っていただく検討をしていただくための、次の段取りにはいります。

そのためには、あらかじめ第二回目の商談の目的を明確にしておくことが大事になります。

(例えば、「提案内容を相手のお客様にあった形に調整するための具体的な検討にはいる」「窓口担当者以外の上位責任者や担当部署のキーマンへの提案を行う」等) 

その目的に沿って、次回商談へ向けた手順をすすめるのです。具体的には例えば、「サンプルを提供したうえ、使っていただいた感想を次回聞くことにする」とか、「次回訪問時に、相手の上位者や技術者を呼んでいただくことをお願いする」といったことが考えられるでしょう。

  ・一方で、その手順に沿って次回訪問までの宿題を作ります。まず自分の宿題として、たとえば今回お客様からお聞きした事情にあわせた商品調査とその結果のご報告、質問された内容の回答づくりや資料集め、あるいは社内の専門スタッフからのアドバイス受けとそのご報告等は十分考えられるでしょう。

・出来ればお客様にも宿題を受けていただくようにしたいと思います。社内での上位者や担当セクションのキーマンへの商品紹介と次回面談の段取りづけ等があるでしょう。

 

-次のステップへ向けた手配―

・強い関心が引けた手ごたえがあるうちに、一気に次のステップに行く手配を進めることがポイントです。お客様の関心が高まり期待が大きくなっているその時こそ、チャンスと思って下さい。新規開拓の場合、そうしたチャンスを素早くとらえて一気に動くのがポイントになります。また逆に障害要因があることが感じられたら、ちゅうちょせずに即座に対策を打っていくと言うことも大事になるでしょう。

例えば初回訪問の提案で、強い関心は持ってもらえたものの、一方で競合他社とか社内の反対者の存在など障害や懸案要因があるといったケースも多いものです。そうした場合そうした障害や懸案要因を素早くキャッチして、初回訪問段階から対策を始めることが必要になると思って下さい。

 例:・今回の提案内容に対するお客様の疑問や不安を解決する再提案が次回出来るように手配する。(初回商談で、次回に再提案することを宿題にする。)

       ・次回は競合他社品との比較表を持っていく。あるいは競合他社に勝てる価格や条件を具体的に提示できるようにする。

       ・お客様の上位キーマンを根回しするために、当社上位キーマンとの面談を手配する。

       

―次回日程の確認―

  ・最後は、宿題の報告及び次回面談に関する日程を決めます。お客様にあわせるよりも、こちらから都合のよい日程を提示して、相手から承認を得る、という形が望ましいと思います。


 第七フェーズ:訪問後の情報整理とお礼のメール。

さらに次回訪問へ向けた準備

 ―お礼のメール―

  ・初回訪問後、当日中に「お礼」のメールを送りましょう。儀礼的ではなく、面談内容を踏まえた、自分の感想や感謝の気持ちをさらりと伝えることが大事です。その中で面談での取り決めを再度確認する一方で、宿題についても一言触れておくことも忘れないでください。

 

 -当日中の上司報告と社内連係―

  ・初回訪問の内容は、かならず上司リーダーに当日中に報告します。(上司も自ら部下が報告するよう指導してください。)なぜなら初回訪問内容には、大事な情報が詰まっている場合が多く、その情報を持って早急に次の訪問へ向けた準備や判断が重要になるからです。社内のチームプレーを早急に進めるとか、貴重な情報をすぐ他の営業メンバーや関連部門に伝達したほうがよい場合もあるでしょう。新規開拓の場合、時間との勝負といったケースが意外に多いのです。

 

 -『見込み客シート』の作成と次回へ向けた対策確認―

  ・また初回訪問後、出来れば当日中に「見込み客シート」に大事な商談情報を記入するとともに、気づいた内容うまく言ったポイント反省点、それから次の訪問までにやっておくべきことまで、思いつく内容をすべて書き出すようにします。

出来れば「見込み客シート」や「活動情報シート」は標準フォーマット化しておきましょう。

   (※上記フォーマットについても今後の小生のブログで解説する予定です。)

  ・上司と相談の上、自分が受けてきた宿題と次回訪問のための準備の実行計画をスケジュール化し、予定に入れ込みます。新規開拓は突発的なスケジュールになりやすいので、スケジュール管理は非常に大事です。

 

  ―日々の新規開拓のビビットな体験を、自分のものにする―

・以上のことを新規訪問したビビットな感覚が残っている当日中に行うことがポイントです。そのことで、迅速な状況判断に基づくスピーディな対応や準備が可能となりますし、新規開拓の貴重な体験を自分のものとして着実に身につけることにつながり、次の活動のレベルを確実に上げていくことになるでしょう。


次回は、新規アプローチ後の継続訪問段階での営業方法について解説したいと思います。

                                  以上

参考ブログ:

・「『実践:新規開拓を絶対成功させる』営業研修プログラムのお勧め」

     http://cbc-souken.co.jp/cbc/2012/03/post-17.html


 追伸:

新規開拓のやり方や困っていることへの質問をお待ちしています。

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このブログ記事について

このページは、CBC総研が2014年1月10日 13:10に書いたブログ記事です。

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