リーダーの『新規開拓』⑩二章4「商談プロセスの設計」

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営業リーダーが新規開拓を作戦化して進めるやり方について説明する文章の続きです。

 

第2章:新規開拓はこうやってスタートさせる

 

4:商談プロセスの設計

 

新規開拓のための武器となる魅力ある提案物の整理と提案トークストーリ―の作成、対象市場の選定と具体的な見込み客のリストアップまできました。次は商談プロセスの設計に入ります。

商談プロセスとは、商談の進め方を段階的にプロセスとして整理したものです。特に新規開拓の場合、お客様との関係をゼロからステップアップさせて新たな取引関係を築いていくことが求められるため、商談プロセスの設計は既存客営業の場合以上に重要です。

但し、単に商談の進め方をステップに整理するだけではありません。顧客の特性や提案内容にあわせたプロセスの中身がより大事になります。事前に障害要因や成功要因を想定しながら商談ステップを見直すとともに、プロセス全体の流れとステップアップを意識して商談場面毎での具体的なやり方を練り上げ、チームプレーや仕掛けを工夫するのです。

 

<ブログの目次>

―商談プロセスを仮設計する―

ステップ1:商談プロセスの展開ステップの仮作成

ステップ2:商談プロセスのステップアップ内容とやるべきことの整理

ステップ3:プロセス毎の障害予測や成功条件の整理

ステップ4:障害予測や成功条件に基づく、新たな対策の検討

ステップ5:実行に当たっての注意点や使用するツール類の整理(プロセスにあわせて)

 

―商談プロセスを仮設計する―

 次のシートを見て下さい。私がよく新規開拓研修で使用している『事業商談展開プロセスの整理表』です。このシートで商談プロセスのステップを整理し、ステップ毎の商談の中身を検討します。

 

 進め方は次の通りです。

ステップ1:商談プロセスの展開ステップの仮作成

ステップ2:商談プロセス毎のステップアップ内容とやるべきことの整理

ステップ3:プロセス毎の障害予測や成功条件の整理

ステップ4:障害予測や成功条件に基づく、新たな対策の検討

ステップ5:実行に当たっての注意点や使用するツール類の整理(プロセスにあわせて)

 

 ◎「事業商談展開プロセスの整理」シート

    shoudantenkaipurosesusiitoB4.doc

 ◎「事業商談展開プロセスの整理」シートの記入例

  shoudantenkaipurosesu(kinyuurei)B4.doc

 

ステップ1:商談プロセスの展開ステップの仮作成

スタートからゴールまで、時間軸で一連の考えられる商談の進め方をステップとして仮作成するところから始めます。例えば一般的には、次のような展開ステップが考えられるでしょう。

 

<商談プロセスのステップ例:>

例1:

 【事前準備→初回訪問(仮提案・モニター提案・情報収集・見極め)→

  継続フォロー→成約】

例2:

【事前準備→初期訪問(アポイント→初回訪問→初期継続訪問)→初期仮(サンプル)提案→継続フォロー→商談の仕掛け実施(提案展示会・説明会、現場視察会、キーマン商談・・)→本格プレゼンテーション(本格提案→検討フォロー)→最終見積もり提案→成約→導入フォロー・・→新規継続受注】

 

商談場面の展開を物語のシナリオとして整理する、と言っていいでしょう。一回一回の場面が進むことで、新規開拓の商談が『成約』と言うゴールに向かって進んでいくと言う感覚です。その場面展開をあらかじめイメージし、ステップとして設計するのです。

 

ステップ2:商談プロセスのステップアップ内容とやるべきことの整理

上記のような商談の場面展開がステップとして想定したところで、次にはステップ毎にその商談場面での達成状態をシミュレーションします。

具体的には、次のような整理になるでしょう。

  ◎人との関係→誰に会って、どこまでの関係になっているか。

      (例:窓口責任者、各種キーマン影響者・・)

  ◎商談進捗→商談はどこまで進捗しているか。

    (例:提案前→提案済→一次検討段階→キーマン検討・絞り込み段階

→最終見積段階→決定→決定後のフォロー段階)

◎提案評価→提案がどこまで進んで、どこまで評価されているか。

  (例: →・提案したが、まだ十分には理解してもらえていない。

→・提案内容は、十分に理解され、ある程度評価されている。

      →・提案内容に、良い評価を得ている。

      →・提案内容に、特に高い評価を得ている。   )

◎情報収集→どんな情報がどこまで得られているか。

 (例:ニーズ、購買スケジュール、商談決定要件、

競合の動き・評価、価格、キーマン影響者・権限影響内容・・)

  ◎価格・競合等、商談の課題対策→障害要因の分析と対策がどこまで進んで、どこまで商談の成功確率が高まっているか

 

またさらにはそれぞれの場面で、次のステップに向けて、どんなことがされなければならないかを整理します。どんな仕掛けや行動が必要になり(行動項目)、その結果どんな成果を上げていかなければならないかを考えるのです。一回毎の場面での劇の進行内容を項目的に書き出すといった感覚でしょうか。

 

例えば、初回訪問場面を想定するなら・・、『挨拶、会社紹介、交流と好意的な関係作り、各論提案、お客様の意向と事情確認(初期情報収集)、次回アポイントの確認・・・』といった行動項目は容易に考えられるでしょう。その内容として、例えば提案については、『包括提案、各論提案、サンプル提供、提案展示会提案、専門家紹介提案・・等』考えてわかる範囲で整理しておきます。具体的な方法論の詳細は、別途検討しましょう。

このプロセスに合わせてチームプレーのあり方も検討します。特にプロセスの場面毎で、誰と誰が立ち会い、どんな役割を果たすのか、はっきりさせるべきでしょう。特にチームプレーのウェートが高い大型商談の場合は、別途具体的にチームプレーをうまくやるためのマニュアルを作成してもいいでしょう。

 

ステップ3:プロセス毎の障害予測や成功条件の整理

 商談場面毎にやるべきことが見えてきたところで、実行に当たっての障害予測や成功条件を考えます。例えば初回訪問で、的確なキーマンに会えないとかタイミングが合わないことから商談が先に進まないとか、あるいは相手の事情を聞き込むことが出来ないまま一方的な提案で終わってしまう、といったことはよくあることです。

また競合他社情報や価格条件を初回訪問等の早い段階で聞き出しておくことは、その後の的確な対応をするための成功条件と言ってもいいでしょう。商談場面をイメージして事前にこうした障害要因や成功要因を出来るだけ洗い出しておくことは、商談の集中力を高めることにもつながります。

 一方商談に当たって想定される相手からの反論や質問などに対する応酬話法は、別途『商談マニュアル』とか『Q&A』として作成したほうがいいでしょう。

 

ステップ4:障害予測や成功条件に基づく、新たな対策の検討

 そこで次にはその障害要因や成功条件から、新たな対策を検討します。商談プロセスとして整理された活動をただやればよいのではなく、ステップアップしてプロセスを進められるようにすることが大事です。そのための独自な工夫をあらためて、いろいろ考えるのです。

 コストや手間のかかる対策ばかり考える必要はありません。例えば、初回訪問であるお客様の具体的な事情を確実に聞き出したいとしたなら、そのための紹介できる他社での類似事例を用意し、質問内容もその事例に合わせて作っておく、といったことでもいいでしょう。あるいは相手のお客様にちょっと喜んでもらえるようなお土産(例えば、新規開拓の為だけにちょっと工夫を加えた限定新製品とか、相手の家族で楽しめる地元名産品等)を用意し、初回訪問でも好感を持ってもらいスムーズな交流が出来るようにするといったことも考えられるでしょう。

 また障害要因を想定するなら、その対策はそれ以前のプロセスの場面で対策を打っておかなければならないことも多いはずです。キーマン対策などを考えれば、【事前のキーマン情報収集→収集された情報に基づくキーマン巻き込みのための仕掛けづくり→社内でのチームプレー対策→キーマン周辺人脈の巻き込み→キーマン巻き込み対策の場面設定】

等といった事前の対策が必要になります。そうなると、前の作業に戻って「ステップ1」の商談ステップ自体や「ステップ2」の商談プロセスの中身を見直さなければならなくなることも、よくあることでしょう。

こうして障害要因や成功条件に対する独自な対策が考えられるなら、新規開拓の成功確率が上がることはまちがいないと思います。

 

ステップ5:実行に当たっての注意点や使用するツール類の整理(プロセスにあわせて)

 商談プロセスとその場面毎での対策がはっきりしてきたところで、それぞれの場面での注意点を整理します。あわせて必要となるツール類も書き出します。

 例:[注意点]・初回訪問→一方的な提案にならず、相手に質問をして話を聞き、交流をはかる。必ず窓口担当者の役割権限等、必要情報を確認する。・・

  :[使用するツール類]...提案ツールとして

(新規開拓提案書、会社・自己紹介パンフ、商品案内、関連資料、サンプル、デモ展示会提案書、Q&A・・・)

             管理ツールとして

(見込み客一覧表、見込み客台帳、案件シート・・)

 

 以上商談プロセスを設計するやり方を解説しましたが、営業担当者やリーダー個人で考えるのではなく、新規開拓に参加するメンバー全員が一緒になって検討するという形が望ましいものと思います。そのことで商談プロセスが各人のものとなり、実際の活動の際に、

みんなが共通の考え方で作戦を遂行することが可能となるでしょう。

 

(※参加するメンバーのレベルにもよりますが、事前に各人に「事業商談展開プロセスの整理」シートを宿題で作成してもらっておき、その上でみんなでその内容を検討し、摺合せてよりよき内容にしていく、といった手順がよりベストではないかと思います。)

                            

以上

追伸:

次回は、商談プロセスのうち、特に大事な場面となる新規開拓の事前準備から、初期商談場面の商談の進め方について、より詳しく解説したいと思います。


参考ブログ:

・「『実践:新規開拓を絶対成功させる』営業研修プログラムのお勧め」

     http://cbc-souken.co.jp/cbc/2012/03/post-17.html


 追伸:

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このブログ記事について

このページは、CBC総研が2013年12月 2日 11:18に書いたブログ記事です。

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