販売会社(卸商社、代理店販社)政策とマトリックス営業戦略②

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前回、「マトリックス営業戦略、4つの領域」のモデルから、販売会社の役割を解説し、今後目指すべき方向までお話ししました。

そこで今回は、メーカーにとっての『代理店、販売店政策の考え方』について、以前某メーカー企業様に向けて作成した文章を掲載したいと思います。

読者の皆さんが、メーカーとしての立場であれば、そのまま読まれて参考にしていただければと思います。代理店・販売店の立場であるなら、その辛辣な言い方に不愉快な思いを抱かれるかもしれません。しかし、それが外部から見られた自分達の姿ととらえて、あらためて自分達の立ち位置と今後のあり方について、危機感を持たれて取り組んでいただければ幸いです。  

前回も述べましたが、メーカーとユーザーの間にある販売会社のあり方は大きな曲がり角に来ており、危機的と言ってもいい状況にありますが、同時に飛躍できる大きなチャンスがあると思います。ご参考になれば幸いです。

 

<代理店・販売店政策の考え方>

1.代理店販売店の違いをつかむ。

2.代理店販売店は、まさにレバレッジ(テコ)が働く。

3.代理店販売店には次のような傾向が一般的に強い。

4.故に、代理店販売店対策として


<代理店・販売店政策の考え方>

1.代理店販売店の違いをつかむ。

・代理店販売店と言っても、業種業態、地域、さらには個々の会社によって、その強み弱み特徴や組織・活動内容は大きく違っているので、まずその実態をしっかりつかむことが大事になる。(代理店と販売店の違い、どのユーザー・どのエリアに強いのか。どことぶつかっているか・勢力図の把握分析。御用聞き中心・提案中心、設計施工・扱い商材の違い・)

 ・一律に論じることは危険。何をどこまで期待できるのか、やってくれるのか、一社一社異なるかもしれない。(姿勢と強さ。組織の在り方・・トップ・リーダー・現場営業・・)

 ・販売店の役割として、「マトリックス営業戦略、4つの領域」の考え方が参考になる。

  (物流配達・小口注文フォロー機能、単品新製品紹介機能、新規開拓・既存有力客のトップ人脈活用、技術サポート代行機能、タイアップ)

 

2.代理店販売店は、まさにレバレッジ(テコ)が働く。

 ・新規の強い商品を一気に広い市場に浸透させていく場合、代理店販売店を有効に活用できるなら、強い味方になることはありえる。

  特に新規口座を取りにくい、閉鎖的な市場や巨大著名企業へのアプローチなどは、そのルートに強い代理店販売店を使うことは、効率的で有効な場合も多いようである。

  (但し、大口ユーザーであれば、直接アプローチしたほうが話が早い場合もあるだろう。)

 ・しかし逆に商品の陳腐化が始まったり競合商品が出たとたんに、突然販売が急落することはよくある。特に新規提案や新規開拓で売っていく商材の場合は、そうした傾向が強い。

  代理店販売店は、顧客からの引き合い注文には対応するものの、難しい商品を自分から積極的に売っていくことはまずないと、覚悟すべきだろう。

 ・また革新製品を持って新市場開拓をする場合と、既存市場に後発で参入する場合で政策として提携する代理店販売店の選択は異なってくるし、具体的な対応策も大きく変えなければならない場合も多い。

 

3.代理店販売店には次のような傾向が一般的に強い。

 ①日本市場から中間流通業態としての卸売業の地位がどんどん低下して、多くの代理店販売店が疲弊し淘汰されつつある。

   多くの業界で、これから代理店販売店は1/2から1/4になると予測されている。

   何でもやります型の御用聞き営業から脱皮できず、多くの代理店販売店の営業力は非常に低下している。故に、勝ち組の代理店販売店と組むということがなにより大事になってくる。(あるいは、厳しい状況におかれた代理店販売店と危機感を共有して、全く新しいビジネスモデルをスタートさせるという手も考えられる。但しその場合、お互いが自律したパートナーシップ精神を保有していなければ、成功は難しいことだろう。)

 

 ②その中で強く生き残っていくと思われているところは、3つのパターンが見られる。

   一つは、エンドユーザー密着型で、大手の有力ユーザーに密着してきめ細かいサポートをしているところ。またあるカテゴリーやエリアで圧倒的なシェアを握っており、その販売力や情報力、コスト競争力の強みを徹底して生かしているところである。

        【ハイスピード対応領域、コストダウン対応領域中心の活動】

   いまひとつは、具体的な専門技能を磨いており、そのテーマでのコンサルティング営業や技術支援、さらにはアウトソーシングビジネスまで踏み込んでいるところ。

                    【エンジニア対応領域中心の活動】

最後は自社で企画開発機能を保有し、生産は下請けで行いながら独自な商品品揃え力をもち、さらには新しいコンセプトを持ったトータル提案まで行い提供できるところ。

この場合、自社企画商品サービスを中心には据えるものの、関連する他社製品サービスも加えることで新しい切り口のコンセプトを創造し、よりトータルな形でお客様満足を提供することで高付加価値な事業を志向するところが多いようだ。

               【パートナーシップ対応領域中心の活動】

この3つのパターのうちいずれか、あるいはいずれも保有しているところが勝ち残っていくよう思われる。

(一方、中間業者の位置づけとなる旧来型代理店の存在意義は危機的になっている。)

 

 ③多くの販売店は、売りやすく手離れが良く、かつ儲かる(都合のよい)商品  を求めている。

   それでも自分からは売ろうとしない、出来ない企業・営業マンが多いと思うべき。

  いわんや、説明が必要で売りにくく、売った後の手離れが良くない商品となれば、いくら利益が取れると言っても、それだけではなかなか売れないと思った方がよい。

  (販売店のトップが売れと言っても、末端の営業マンがやらない場合も多い。)

  ・売れるしくみ教育インセンティブ三層四層営業

                      (トップ、リーダー、担当)

の4重の作戦を組み込むことが必要になっている。

   ◎売れるしくみ・・

       ユーザー向けキャンペーン・展示会・デモ・提案ツールの用意等

◎教育・・・販売店説明会、営業マン実践教育、

      (製品説明ではなく、売り方の教育・・)

◎インセンティブ・・・会社・拠点・営業マン毎へのインセンティブ制度

    (販売額ではなく、口座開設等新たな状態目標の達成状況評価)

◎三層四層営業・・・トップ、リーダー、担当とバックアップ部隊による連携

 

 ④特に注意すべきことは、販売店は価格訴求の営業になりやすいことである。

なぜなら、それが販売店営業にとって、一番簡単にお客様に紹介できるからだ。

製品機能の説明は、販売店営業にとって、あまりに難しいので、出来るだけ避けたいのが

本音である。

「御社で、現在使われている○○競合品より、もっと安くて品質もいい商品があるんですよ。どうですか?」「どんな商品?」「□□と言います。」「どのくらい安くなるの?」「○○ぐらいは安くなると思いますよ!」「品質は?」「もしご興味ありましたら、メーカーのものを呼んで説明させましょう!いかがでしょう?」「うん、じゃあ、一度聞いてみるか。」

そうなると、次のようになる。

  ◎販売店営業  ⇒ 価格訴求での紹介と購買条件交渉の窓口

    (と言っても、販売店営業からすると、値引きさせてメーカーにその分負担させるだけでいい。いくら譲歩しても、自分の腹は痛まない。だから値引きという安易な方法に陥りやすくなる。)

  ◎メーカー営業 ⇒ 製品説明員のみ。それ以外の役割をさせてくれない。

     (だから、同行営業してもメーカー営業は、製品説明員になり、価格以上のメリットを訴える場がほとんどなくなってしまう。)

  お客様は、「確かにいい製品だけど、もう少し安くならないの?」と販売店に言う。すると販売店営業は、安くすれば売れると思って、メーカー営業に値引きを要求する。それが一番簡単で安全だ。

「おい、もう少し安くしてくれよ。そうじゃあなきゃあ、売れないよ!」「いい製品なので・・」「何言ってるの。安くしないとお客は買わないって言ってるんだよ!」

「わかりました。それでは、いくらお安くすればいいんでしょうか?」

こんな会話が、本当に多いことに気をつけたい。

 

 ⑤会社によって、トップ(ダウン)現場営業所長(中堅リーダー)出来る営業担当次第、のどのクラスが強いか異なる。その強いところを押さえた上、三層全体に働きかけていく。代理店販売店の組織特性にあわせた戦略的な三層営業が大事になる。

またバックアップ部隊を自社として作り、ユーザーとともに販売店への営業支援を行えるようにすることは、今後成功のための大事なポイントになってくるよう思われる。また成功事例が出来たなら、それをすぐ横展開していってもらえるような仕組みも重要だ。

 

 ⑥代理店販売店が一番気にしているのは、エンドユーザー競合代理店販売店

  だからそこに働きかけていくことが一番動かしやすい。メーカーとして単に自社製品を売ってもらおうとすると、お願い営業になり、足元を見られて叩かれる可能性が高い。

流通政策は、イニシアチブを握ったところが儲けられる。

 

4.故に、代理店販売店対策として

 1)トータルに市場全体を分析したうえ、分野業種エリアそして個々の企業ごと分析して、勝ち残るところを前提に、パートナーとして組むことではっきりメリットの出ると思われるところと組む。

   但し、一社に依存するとイニシアチブを握られてしまいやすいので、対抗する代理店販売店の勢力のバランスを考慮し、自社が自由に動きやすい組み合わせを考える。

   (これからのことを考えた提携戦略の重要性。例:戦国時代の合従連衡策)

 2)エンドユーザーから攻める。勢力関係をよく見極めて、強気のイニシアチブを持った関係を築く。

 3)販売店の主力製品に組み込んで、一緒に売ってもらう。

                       (それも価格訴求ではなく・・)

   また販売店の年間販売目標計画に組み込んでもらう。

                      (マージン等のインセンティブも)

   その上で、当社品の売り方教育や成功事例研究の研修会を販売店先で開催してもらい、営業所長や営業マンを巻き込んでいく。出来れば拠点、営業担当毎の販売目標や攻略ユーザーも設定したい。

 4)当社品を売ることが、新しい市場開拓、勝ち残りの武器と言う位置づけにさせる。そうしたストーリーをつくり、パートナーシップの関係を構築する。

 5)当社から攻略先目標を示し、こちらがイニシアチブを持って販売店に動いてもらうようにしかける。またそれにあわせたユーザーキャンペーン、セールスキャンペーンをタイミングを合わせて行い、一気に動いてもらうようにする。

 6)大きな組織の場合は、全組織を一気に動かすことが難しい場合もある。その場合は、一つの営業支店営業所をモデル拠点としてそこの拠点リーダーを巻き込んで、まず成功事例を作り、それを他の拠点に横展開してもらうようにする。拠点内でも、はじめは全営業マンを対象とするのではなく優秀な営業マン一人に集中して働きかけて成功事例を作り、その上で他の営業マンに浸透させていくようにする。

   一営業マンの成功事例→拠点全体での成功事例の横展開→全社営業拠点への普及・・といった成功事例の横展開の流れを組み立てるのである。

 7)値引きには、断固たる姿勢を示す。安易な値引きを絶対させない。

 8)以上のようなトータルな販売店戦略を組み立て、計画と実行を推進できる全社営業体制をつくる。営業マン任せにしてはならない。会社として販売店という会社組織全体を動かすのである。

 

続き・・

次回は、私がこれまで何かのきっかけで作成した資料類「代理店・販売店政策のキーワード」「販売店(商社)を活用する場合のポイントとして(従来分野で)」「代理店政策の本質」を参考までにご紹介したいと思います。

                                    以上


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このページは、CBC総研が2013年5月 7日 13:19に書いたブログ記事です。

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