最近の経済金融事情への日記的な考察②日経平均株価と為替レートの関係

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はじめに:

ここ最近の安倍ノミクスによる急激な円安株高傾向には、驚くばかりです。

その現象を自分なりに理解しなければ、今後の日本の社会経済をより確かに予測できるわけがないですし、経営コンサルタントとして適格なアドバイスができるわけもないと思えます。そこで浅学ではあるものの、最近の金融状況(経済状況)について私なりの考えを日記的にでもその都度整理してみようと思いました。このブログでは、その最近の文章を載せたいと思います。少しでも皆さんの最近の経済状況の理解にお役に立てれば幸いです。

前回の4月9日の続きです。


<日経平均株価と為替レートの関係について>   2013.4.10

―2004年前後で変わる、株価と為替レートの関係―

―変わった要因は何か―

―過去から見た現実に惑わされてはいけない。

変化する世界のメカニズムにあわせて対応する!―

―なにより主体性を―


 

<日経平均株価と為替レートの関係について>   2013.4.10

 

―2004年前後で変わる、株価と為替レートの関係―

 たまたまここ20年間(1993年から2013年)の日本の為替レートと株価の推移をあらわしたグラフを見ていて、おもしろいことに気付いた。

 それは、2004年近辺を区切りにして、その前と後では、為替レートと株価の動きの相関関係が正反対になっていることだ。2004年以前は、多少のずれがあるにしても、株価の動きと為替の動きは連動しており、(特に1995年から2005年の10年間)株価も上がると多少遅れて円高になり、円安になると株価も多少後になるが下がっていくという二つの線が平行に動く傾向がはっきりしていた。

それが2006年以降になると、はっきり円安の時に株価は上がり、円高になると株安になるという傾向にかわり、ちょうどワニの口をあけて閉じたような図(菱形)に変わっているのである。   

より詳細にいうなら、それでも2008年後半から2010年は円高基調で株価も若干上昇基調にあったので、そこでは同調しているともいえるが、むしろどちらも動きが少なかったと言っていいだろう。その前の2005年から2008年までははっきりした反対傾向を維持している。また2010年では円高に進むと株価は減少し、グラフでは正反対の動きになっている。

私はリーマンショックの2008年以降は、それ以前とは大きく違う世界になっていると思っていたが、この図を見る限り、その前の2004年あたりから変わったと言えるだろう。ということは、変わったのは米国経済の問題ではなく、日本経済の変化が要因ということだ。

(こう書いていて、気が付いたことがある。それは私のコンサルティングを取り巻く状況も、ちょうど2004年あたりを区切りに劇的に変わったことだ。その当時は、どのような要因から変わったのか、全く分からなかったが、こうして見ると日本経済がそこで大きく変化していたことが見えてきて、何か合点がいく・・よう感じられる。)

 

―変わった要因は何か―

この図からは為替レートと株価の連動性は、20032004年で何か大きな節目があって、その後はっきり変わってしまったと考えられる。その一番の原因は日本の経済体質が大きく変わったことを表しているのではないかと、私には思えるのだ。

 その違いを一言で言うのは難しいが、やはり日本経済が為替レートによって動かされるほどに弱体化しつつある、ということではないか。以前は経済が強く輸出競争力があったために、為替レートにはあまり関係なく株価が決まっていたものの、2004年以降になると、為替レートの高い低いによって、株価が大きく動いてしまう、ということだ。円安になれは株高、円高になれば株安である。主体性が弱まり外部環境に揺らいでいる状況と言っていい。

本来為替レートは一国の貨幣価値の高さや経済成長力を表すものであって、株高ならば好景気で金利上昇によって為替レートを上昇させると考えるべきだろう。実際米国の場合なら、金利上昇は間違いなく為替レートを押し上げるはずだ。ところが日本の場合、2004年以降、正反対になっているのである。

 

―過去から見た現実に惑わされてはいけない。

変化する世界のメカニズムにあわせて対応する!―

「マトリックス営業戦略」理論モデルのバックボーンにある考え方とも一緒だが、このようにそれぞれの状況の違いを鮮明に認識して、そこであてはまるメカニズムを捉え対応することがなにより大事だとあらためて思う。

経済学者やエコノミストの多くは、そうした状況のちがいをあまり意識していないようだ。多くの判断違いはそうした状況変化を捉えていないことから来るのではないか。今回の円安傾向についても、最近まで円高がむしろ当たり前といっていたエコノミストがいたし、つい最近でも96円近辺で円安が止まるはず、といっているネット記事を見つけた。その根拠を見てみると、ある理論的な考えをそのまま現在の経済状況の説明に使っているために、その理論をあてはめていくと現状延長が当然という答えになっているか、過去の金融傾向を分析して、その延長線で将来を予測しているか、いずれかだ。どちらも過去から見た現実という亡霊にとらわれていると言っていいのではないか、と私には思える。過去という確固とした現象や権威ある理論の裏付けがあるからわかりやすい説明になるが、あまりにワンパターンの考えをあてはめているだけであり、変化に対応することができていないのだ。

 

―なにより主体性を―

今後どこまで円安基調が続くのかわからないが、日銀や政府の株価を考え金利上昇リスクへの恐怖を考えるならば、円安基調を続けるインセンティブが強いだろうことは間違いないだろう。

しかし過剰な熱狂の後には、過剰な失望や絶望が訪れるのも必定だ。主体性が弱まっていることこそが、何より今の日本経済の問題点ではないか。その点の改善がなければ、日本経済の活性化はありえない。その主体性の復活を期待して、今後を注意深く見守りたい。

                                    以上

今後をご期待下さい・・。


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このページは、CBC総研が2013年4月11日 11:43に書いたブログ記事です。

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