マトリックス営業戦略の詳細解説①-1「4つの領域の戦略的活用」

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市場の変化多様化を戦略的に戦うためのモデルとして、私は「マトリックス戦略営業」を開発しました。その基本的な内容は㈱CBC総研のホームページや、私のブログをご参照下さい。

これから、その詳細内容を解説したいと思います。

ここでは、以前私が執筆した書籍の一部から解説したいと思います。

(「社長、儲ける営業部隊に変えましょう!」実業出版社刊より、一部修正)

―「マトリックス営業」で自社の戦略を見直そう―

―領域ごとの開拓作戦の方法― 

 (1)ハイスピード対応の開拓作戦『単品販売作戦』
 (2)パートナーシップ対応の開拓作戦『大型企画提案作戦』
 (3)エンジニア対応の開拓作戦『顧客深耕・拡大作戦』
 (4)コストダウン対応の開拓作戦『徹底効率化作戦』

 ―他社のやらない作戦こそ業績を飛躍させる―

 


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―「マトリックス営業」で自社の戦略を見直そう―

 4つの領域によって営業のやり方や成功ポイントが全然違います。もちろん営業戦略も大きく変わってきます。変化する市場や場面にあわせて、営業戦略・作戦やスタイルを切り替えていかなければならないのです。

 前項で説明した「マトリックス営業 4つの領域」の考え方は、自社の営業戦略や具体的な営業のやり方の見直しにおいて、次のように活用することができます。

(1)まず自社の営業活動を領域ごとに整理し、それぞれの領域にあったテーマごとに、営業の開拓作戦のパターンをつくる。セールストークや営業スタイルだけでなく、基本とする営業戦略・チームプレー・営業織のあり方もテーマごとに大きく変わるだろう。

 

(2)この4つの領域は、変化をあらわしている。だから現在の領域から変化の先を読んで、一歩先の対応ができる戦略的な体制を組む。また市場が変化したとき、すぐそれにあわせて柔軟にチャレンジできるようにする。あるいは「土俵」自体を見直す。飛躍のための大きな事業戦略である。

(3)この4つの領域をモデルに、事業展開のプロセスや新規開拓の商談ステップを組み立てる。ステップができれば、そのステップに沿って、組織的にメリハリある事業展開や新規開拓のストーリーを進めていくことができる。

 

―領域ごとの開拓作戦の方法― 

日々の営業マンの活動を分析してみると、じつは多くの場合、その4060%は「コストダウン対応」領域の雑務的な業務に費やされており、残りの活動のうち、2040%は「ハイスピード対応」領域の単品的な提案と受注フォロー活動に費やされています。

 この2つの領域は、横軸はともにレディーメード対応ですから、できるだけ標準化や効率化を進める方向での営業活動の見直しが必要です。もっと徹底してスピードと効率を追求すべきでしょう。

 これに対し、オーダーメード対応の大型商談を狙う「パートナーシップ対応」領域の営業活動は、10%未満に過ぎません。「エンジニア対応」の問題解決型営業も1020%がせいぜいの場合も多いのです。

 しかし、この後者の2つの営業活動がきちんと行なわれているかどうか、それもセールストークとチームプレーをきちんと組んで実行できているかどうかで、商談の成功確率と、商談から得られる実績は大きく左右されることになります。

 営業活動を効率的・効果的に進めていくためには、これまでのように営業担当者に営業活動のやり方や中身をすべて任せてしまうのではなく、戦略的に営業のやり方をパターン化して組織的な活動を推進していくことが重要になるのです。それが、業績アップに直結します。

これらのことを頭に入れたあと、次の4つの営業戦略を読んでみて下さい。

(なお、領域ごとの基本解説は「マトリックス戦略営業の基本解説、4つの領域」にまとめてあります。)

(1)ハイスピード対応の開拓作戦『単品販売作戦』

 ある程度提案する商品・サービスが決まっていて、成約に至るステップが1~3回で済むような営業活動は、すべて「ハイスピード単品販売」として、営業のやり方を標準化し、的を射たスピーディな営業活動を全営業マンに徹底させ、組織的に機動的な形で市場にアプローチしていけるような作戦と体制をつくる。

 そのためのやり方は次の通りである。

①優秀な営業推進担当の設置

まず戦略作戦として進めるため、現場営業に熟知している優秀な営業リーダー1名を推進担当役として本部の営業ラインスタッフに配置する。そのラインスタッフがセールストークやマニュアルの整備から、活動の推進、成功事例の共有化・横展開までを、強力に進められる体制をつくる。

 

②開拓案件の明確化とそれぞれに合わせた顧客リスト、

                                マニュアル・ツールの整備

事前に、開拓作戦のテーマをすべて洗い出す。そのテーマごとにターゲットとなる顧客リストを作成し、提案できる商品を整理して特定する。そしてターゲットごとに効果的なセールストークをつくる。さらに営業の成功事例をもとにして、セールストークを含む商談マニュアルやツールを整備する。

 

 ③スピーディな商談プロセスと見切り見極め条件の明確化

その際、見切り・見極めを明確にし、3回以内の商談で結論の出るプロセスを組む。

 ④ロールプレイング等の実践教育の徹底

標準的な営業方法を習得するロールプレイングを中心に、実践教育を徹底して行なう。

3か月単位の実行計画と管理

実行は3か月を目処に、短期集中で一気に動く。量とスピードを第一にした動きをさせる。そのため営業リーダーには訪問軒数と回数の日々管理を徹底させ、毎日の朝礼レビューを必ず実施し、動機づけと行動結果のフィードバックをスピーディーに行なえるようにする。また市場の変化に敏感になり、お客様の反応・評価を常にチェックしていく。

 

 新規開拓の場合、魅力ある商材があって、狙う顧客・商品を的確に絞り込めれば、営業のやり方を標準化してスピーディーな対応を実現することは可能である。日々の新規の単品提案も、できるだけ標準化することで、商談の効率・効果を高めることができる。これこそが、ハイスピード対応の営業スタイルなのである。

 また今後、インターネットによる会員制ネットワークが整備されるなら、たとえば新製品にぴたりとあう条件の顧客会員だけを抽出して、一斉に個別事情にあわせたメール送信や直接アプローチが可能となる。テレフォンマーケティングの進化形と言えるが、ハイスピード対応領域の条件を徹底することでより効果を上げることができるだろう。

 営業組織としては、側面にラインスタッフを置いた縦型の「軍隊型」組織がぴったりである(領域ごとの組織のあり方は今後解説します。)

 

(2)パートナーシップ対応の開拓作戦『大型企画提案作戦』

 これからの時代、いくら小さな商談を積み上げても、なかなか業績アップはむずかしい。その間に、大きな取引が一件落ちただけでも大打撃だ。やはり、業績を確実に上げていくためには、組織的に大きな商談を狙えるようにしなければならない。そのための作戦である。

 この領域は大型トータル企画提案があてはまる。勝ち組、負け組の選別がより厳しくなる中、会社が成長発展していくためには、勝ち組企業や優良顧客とのパートナーシップが今後ますます重要な意味を持ってくる。だから、この領域がこれからの営業活動の主戦場となる。何がなんでもこの作戦を成功させ、そのノウハウを積み重ねていくことだ。

日常的な営業活動を超えて、取引関係を飛躍的に向上させるような、将来へ向けた大型企画提案作戦が必要である。

 法人営業の場合、商談相手の多くは、トップや上位役職者となる。だから自社もこの商談は営業担当者任せにせず、トップ対トップの商談をしかける作戦を立てる。会社の総力をあげた、チームプレーで動くべきだろう。

 

具体的には次の通りである。

①対象とする重点大口見込み客の選定

今後成長が見込める重点顧客をリストアップし、一件ごとにその顧客状況と今後の発展の方向、トップの方針・権限等を分析する

②対象顧客一社毎の企画提案ストーリーの作成

その上で、一件ごとに、顧客の将来ビジョン・方向と当面の提案内容を盛り込んだ、パートナーシップを呼びかけるトップ向けの大型企画提案(書)ストーリーを作成する

③トップキーマンに決断を促す仕掛けづくり

一方で、相手のキーマンを呼び込む展示会やデモンストレーション、企画プレゼンの場やしかけをつくる。日常を超えた特別な場をつくることで、お客様が将来へ向けた大きな決断をしやすい契機にするのだ

④入念な顧客のスケジュールに合わせたアプローチ計画の作成

今後の商談スケジュールと自社のトップのスケジュールを考慮して、商談プロセスとアプローチ計画を立てる

⑤様々な関係者を巻き込み、味方につけるチームプレーの設計と作戦づくり

はじめは一般営業担当者がアプローチするが、次にすぐトップ商談をしかけ、その次に実務商談の順で3つのステップを踏み、チーム全体でパートナーシップ対応をステップアップしていく作戦を進めていく。商談プロセスに作戦を込めるのである。

 営業組織としては、トータルコーディネーターのトップ営業リーダーを中心に、アシスタントやエンジニアサポート部隊も編成し、会社全体のプロジェクト体制とする。チームリーダーを中心にさまざまな役割の人達が、それぞれの場面で主役になってゴールをめざす「サッカー型」組織ある。営業トップだけでなく、チームメンバー一人ひとりが、お客様に対するパートナーシップの思いを共有しないと、この作戦はうまくいかない。軍隊式とはまったく異なる組織と思ってほしい。

期間としては、最低6か月から1年間は必要となる場合が多いだろう。

(3)エンジニア対応の開拓作戦『顧客深耕・拡大作戦』

 この領域は相手が玄人であるだけに、営業担当者は受身となり引き合いを待つ対応になりやすい。しかし、それでは最後は顧客にイニシアチブを握られ、知らぬ間にコストダウン対応にせざるを得なくなってしまうか、競合他社にインストアシェアを奪われてしまうことになる。

 だからこそ、この領域においては、営業マンに積極的に顧客との関係強化と取引拡大をめざす目標と作戦を立てさせ、常に新しい提案活動をうながさなければならない。そのためにも日頃の信頼関係づくりと情報収集活動が大事になるだろう。

具体的な作戦としては、次のようなやり方を継続的に進めることになる。

①営業マンの専門ノウハウの習得の徹底

まず営業マンに具体的なテーマへの高い専門能力と顧客の問題解決力をつけさせる。技術者を何かにつけて手伝いに呼ぶのでなく、自分で解決していける力をつけさせる。営業マンの能力評価の項目にも、こうしたエンジニア対応能力をはっきり打ち出す。

②顧客側に味方を作る日々の活動の工夫

日々の営業活動で顧客志向の動きを徹底させることで、顧客との信頼関係を築かせ、顧客の中に味方をつくらせる。

③顧客の詳細(現場)情報の事前収集の徹底

より突っ込んだ顧客情報を1日ごとおよび3か月単位で収集し整理していく(それが価格交渉や競合に勝つための一番の近道となる)。

 この事前の顧客情報の収集は、エンジニア対応領域で成功する一番のポイントだ。だから営業部隊に1日ごとおよび3か月単位に分けて徹底させたい。1日ごとの情報収集は日々の商談がテーマであり、3か月単位は新しいテーマのための情報収集だ。


 主な情報項目は次の通りである。

  (ⅰ)顧客側の人的情報。各種キーマンとその権限関係の組織(体制) 

   図とそれぞれの部門、人の仕事内容。特に上位キーマン・情報キー      マンとの関係づくり

(ⅱ)顧客の実務的な現場情報の詳細とニーズ内容(ニーズの背景、目 

   的、経緯、原因、体制・・表面的でなく本質的な課題を探る)

(ⅲ)競合の動き(弱みを見つける方向で)、価格の絶対条件。その他障

   害・制約要件

(ⅳ)顧客をとりまく環境と今後のチャンス・リスクの可能性。今後考 

   えられるお客様の方針・方向と予測される課題

(ⅴ)顧客の全体スケジュールと全案件テーマの進渉状況、今後のタイ

   ミング

こうした顧客情報は定型的な情報フォーマットとして、顧客ごとまた商談テーマごとに整備・蓄積していく。


④顧客別の提案テーマの総点検と提案計画づくり

顧客層別に、深耕目標と重点課題の仮説を設定し、提案できると思われる商材・テーマをすべてリストアップする。そのリストと既存客一件ごとの取引実績をチェックし、顧客ごとに新たなテーマの提案活動の計画を立てていく。この可能性のあるテーマをすべて洗い出してみることが大事である。それは提案のためのチェックリストにもなるだろう。

⑤顧客別の自社の専門的な強みの再整理

一方、自社のどんな強みを磨いて、どんなテーマに重点を置き、集中して戦うのかを顧客別に鮮明に打ち出す。その重点テーマに沿った問題解決に集中することで、成功事例を積み上げ、他社ユーザーに横展開していく。それによって、さらに独自の強みに磨きをかけ市場シェアの拡大をめざす。

 具合的な作戦としては2つある。

 まずは、徹底した競合対抗である。現在取引している競合他社の商品、サービスおよび営業対応上の強み・弱みを情報収集し、その弱みを攻める。弱い競合他社の取引している顧客リストをつくって、一気に攻めるところまで考えたい。

 次に、そうした競合の弱みが見つからない場合、お客様に将来のビジョンを提案することで、糸口をつかむやり方もある。他社に先んじた提案ができれば、商談のイニシアチブを握ることも可能だろう。先手先手で攻めることが大切だ。

 前者のやり方は、ハイスピード対応の営業に近く、後者のやり方はパートナーシップ対応のやり方に近くなる。

⑥自社の専門ノウハウの強みを実証する展示会等の工夫

展示会、公開セミナー、次世代技術勉強会、工場見学会等といったしかけづくりも有効だ。相手は玄人だけに、売り込みよりも、ともに学ぶという姿勢のほうが受け入れられやすい。専門技術ノウハウの公表、共有化といった場やしかけをつくって、お客様からの評価を高めるとともに、広く専門的な交流を効率的に広げ深めていく。

この領域では、顧客満足成果の実例は、最も重要なノウハウである。その分析・蓄積・共有化、横展開のしくみを全社的につくっていくことが重要な営業戦略となる。そのためにも営業活動をオープンにし、情報共有化のしくみと営業風土の改革の実行が必須条件となるだろう。

 一方、営業担当者に個々の専門ノウハウをすべて身につけさせることはむずかしい。特に新製品や新分野となると、営業最前線ではどうしても今売れるものに力を入れる傾向が強いため、なおさらむずかしいことになる。

 そこで組織編成としては、通常の縦割りの営業部隊とともにテーマ別の営業専門チームを横組織として設置する、「マトリックス型」組織が望ましい。この専門チームは、個々の商品分野のライフサイクルの位置の変化にあわせて、そのチームプレーの役割を変えていく。その意味で「柔軟マトリックス型」組織と呼ぶ。

 新分野立ち上げから浸透期までは、専門チームが中心に動くが、成長期になれば主力は縦の営業部隊となる。ただし、市場が成熟期を迎えたとき、その動きを見て商品の改良や価格政策を決めるのは、やはり専門チームとなるだろう。

(4)コストダウン対応の開拓作戦『徹底効率化作戦』

 ここの領域は営業活動をカットすべきと言ったが、現状の多くの営業マンはこの領域における事務処理や雑務の対応に追われており、有効な営業活動時間は全体の3分の1もとれていない場合が多い。これでは営業戦略や教育も、絵に描いたもちである。営業担当者でなければできない仕事以外をすべてはずすぐらいの改革が必要だ。

 ある営業拠点で実際にあった話。それまで、電話等で問合せのあった小口見積りについても、営業担当者が訪問先から帰社後、処理をしていたが、それをすべて社内事務担当者(女性2名)の責任で、そのつど即座に対応することにした。

 すると、スピーディーな対応に顧客からの評価が上がったばかりでなく、むしろ値引き要請が減少し粗利益率も若干アップしたのである。もちろん営業担当者は夕方の処理がなくなったことにより、訪問活動に専念できることになり、全体の業績アップにつながった。

 通常、営業担当者の行なっている事務処理や雑務のうち、70%は他の者でできることである。それならば、はっきり切り離したほうがよい。

 営業の業務活動の改善は、次のようなステップで進めることになる。

(1)営業の一日の仕事をすべて時間スケジュールで書き出す

(2)注文や問合せの内容を細分化して、営業マンでなければ絶対できない ものかどうか確認して区分けする

(3)営業マンでなくてもできる仕事を整理し、その量とスケジュールを見   積る

(4)業務の流れを、問合せ―見積り―納期確認―受注―注文書作成―

   発 注......といった形で整理し、物と情報と事務の流れを確認して、   ダリやムダな動きを改善する

(5)営業マンは午前10時から午後5時まで外部での訪問活動に専念するこ   とを定める。そのために発生する問題を社内業務担当者がどう対応す   るかを決める

(6)新しい社内業務の仕事が、トータルでどれだけの量とスケジュールになるか計算してみる。 

まったくムリなら、パート・アルバイトを導入せざるを得ないが、120%程度ならとりあえず現人員でやってみる

(7)社内業務といっても、問合せや注文への対応等お客様サービスの前線活動である。だから

その能力アップと、お客様志向の対応や活動をうながすしくみをつくる。そうした能力向上や改善成果、お客様満足アップ対策を人事評価でも重視する

組織としては、営業活動とは別に業務を統括し、改善を進めていける体制が望ましい。その場合、縦のピラミッド的な「工場型」組織体制となる。

 営業活動においては、日常的な注文はできるだけメールやFAX等を活用して、自動的な処理を進めていく。単品注文ではなく、抱括契約による顧客も巻き込んだトータルな受発注体制の改善を進めるのも営業の仕事だ。その場合の提案は、パートナーシップ対応の営業となる。

 一方で営業活動の効率化も強力に押し進めなければならない。そのためには、次のようなやり方が考えられる。

(ⅰ)顧客別の営業工数(時間)を見直す。これから取引を伸ばす顧客に重点を置   き、現状維持や縮小させる顧客の訪問回数や所要時間を削減する

   (S、A、B、Cランクでの区分けする)

(ⅱ)訪問ルートを見直し、訪問効率を上げる

(ⅲ)訪問先での活動内容を時間スケジュールで見直し、効果の悪い活動をやめ    る。あいは効率の上がるやり方を工夫する

(訪問回数を減らすかわりに密度の高い営業活動を行なう。日常は電話やメールでフォローする、など)

(ⅳ)1週間の時間スケジュールを2時間単位で区分けし、単位ごとの目的と達成目標をはっきりさせて、集中力を高める

(ⅴ)営業担当者一人ひとりの粗利目標や顧客ごとの時間効率等をはっきり示して、各人にその改善を図らせる

これらは個々の営業担当者レベルでの活動の見直しとなるため、どうしても個人任せになりやすい。そこで、「効率化作戦」などのプロジェクトをつくり、全社的な効率アップを図っていくことである。そのためにも、一人ひとりの実際の時間スケジュールをオープンにして、どんな仕事にどれだけの時間をかけているかを明らかにするとともに、各自に時間効率と採算意識をしっかり自覚させることが重要だろう。

―他社のやらない作戦こそ業績を飛躍させる―

以上、4つの作戦について説明したが、大事なのは、作戦に参加する全メンバーにそれぞれの作戦の目的と全体としての進め方、それに各自の役割をしっかり理解させ、それぞれに求められるスキルを徹底して身につけさせることである。

 また、作戦を立てるにあたって、もう1つ大事なことは、自分たちのこれまでの業界の常識を壊してこそ、作戦の成果は大きいということだ。

 たとえば、あなたの会社が、訪問販売業のように、比較的単純な商材で一回の商談で注文をとってくるような営業活動を行なっているとしよう。このての業種では、当然ハイスピード対応の「単品販売作戦」を徹底させるはずである。

 しかし、それだけでは、同業他社と同じやり方で競争をしているだけだから、大きな差がつかないことは十分考えられる。そこで、あえて違う領域の作戦を試してみるのだ。

 たとえば、この場合は、パートナーシップ対応の「大型企画提案作戦」を行なえないか考えてみる。エンドユーザーを会員制ネットワーク化するビジネスや、エンドユーザーに近い販売代理店とのパートナーシップを構築することも考えられるだろう。

 そうなれば、数多くのお客様をまわるより、お客様一人ひとり、あるいは一社一社を大きな輪として巻き込んでいくことも可能である。それができれば、事業モデルを確信でき、業績は飛躍することだろう。

 領域が異なるということは、営業スタイルだけでなく、営業に関する考え方や組織のあり方、さらには文化まで異なるということである。ゆえに、領域の違う作戦で成功することはむずかしいが、それだけに他社との大きな差別化になり、業績を飛躍させるステップとなりうるのである。

                                    以上


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このページは、CBC総研が2012年4月17日 14:01に書いたブログ記事です。

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