「これから繁栄する企業の条件とは」の第二項の条件は「『社員』がより幸せな企業が繁栄する」です。今回はその解説をしたいと思います。
はじめに:
アベノミクス以降、多くの企業において人手不足や人材獲得競争がより厳しさを増しています。今後日本の労働者人口が確実に縮小することを考えるならば、今起こっている人材競争は序の口であり、今後ますます競争に拍車が掛かることは間違いないでしょう。
ところが人材獲得の際にはその厳しさを感じてはいても、実際自社の社員に対して、どれだけ貴重な経営資源として人財活用されているでしょうか。
「企業は人で成り立っている」。そんなこれまで当たり前に思える言葉の意味を、あらためて考え直さなければならないところに来ていると、最近つくづく思うケースが多くなりました。
ヒトを大事にする経営が劣化しているのではないか。だから多くの日本企業の業績が厳しく、将来展望を描けていない・・。
ちょっと極論かもしれませんが、案外当たっている企業も多いよう思います。
人口減で人財難に突入することが、むしろ日本企業の将来展望をきり開くにはちょうどいいとさえ、私には思えるのです。
人材競争時代にはいって、企業はいかに社員を大事に出来るか、ヒトを育成し活用できるか、それが改めて問われていると思います。
<ブログ目次>
◎『社員により高い給与を払える企業が繁栄する。』
―人の『生産性向上』で、マイナスのスパイラル現象に陥るな―
―より高い給与を払うからこそ、『生産性』が上がる!―
―より高い給与を払うための対策―
◎『社員により充実した満足できる人生を提供できる企業が繁栄する。』
◎『社員が、お互い自ら学び合い、より成長する企業が繁栄する。』
―精神論だけでは、何も変わらない!変えるのは経営トップの情熱のみ―
◎具体対策として
参考:『ここまでやれ!<儲け>を生み出す営業部隊づくり』(清話会出版)より
『表彰制度の工夫、充実』
◎『社員により高い給与を払える企業が繁栄する。』
―人の『生産性向上』で、マイナスのスパイラル現象に陥るな―
「生産性向上」と言う言葉がありますが、その意味をいまだ「出来るだけ人件費を抑えて人を使い、会社の利益を上げる」と解釈している人が多いようです。
1990年代に起こったバブル崩壊以降、日本企業の多くは、その『生産性向上』のために、
出来るだけ一人ひとりの従業員の給与を抑えて会社の利益を優先する道を選びました。そのお蔭で、企業利益はある程度確保できたこともあったでしょう。日本企業全体として、B/S(貸借対照表)上は、企業の内部留保がどんどんたまっていきました。
しかし一方でP/L(損益計算書)上からみるなら、多くの業界で価格競争がより激化し、
そのため人件費すなわち従業員の給与をなおさら抑制せざるを得ない状況に陥ってしまいました。そこで従業員である消費者は、生活費を切り詰めるためにより安い価格を求める、という傾向が強まり、結果としてビジネス社会全体がデフレ価格競争のマイナスのスパイラルに入ってしまったのです。知らぬ間に、自分達の手で自分達の首を絞めている、と言った状態になっていたのです。
日本経済が停滞化して徐々にデフレ縮小化する中、企業どおしの同質化競争によるパイの取り合い合戦が激化する一方で、新興国との人件費も含めた深刻なコスト競争が進んだことも、そうしたマイナスのスパイラル現象に拍車を掛けました。
しかし、そのマイナスのスパイラル現象も限界に来ています。価格競争も限界ですが、給与水準を低く抑えて人財を獲得すること自体が、もはや難しくなっています。経済のパイはそれほど縮小しない中、労働者の絶対的な人数は確実に縮小しています。
一方作業的な効率化はどんどん進んでおり、単なる作業であるなら、もはや人を使うのではなく、ITやその他設備装置を活用して生産性を上げることの方が、よほど生産性を上げることが出来る場合が多くなっています。
人の『生産性向上』の意味が、大きく変わってきているのです。人を使った作業の生産性ばかり追求する経営では成り立たないということです。
―より高い給与を払うからこそ、『生産性』が上がる!―
そんな中、最近ある社長からこんな言葉を言われました。
「従業員には、払った給与以上に稼いでもらわなければ会社が成り立たない。正直、稼げない者には、その分給与を下げるか、辞めてもらうしかない。」
「そもそも十分働けない者、稼げない者に、高い給与を払えるわけがないのは当然だ!」
会社は利益があってこそ成り立っています。だから社長がそうした気持ちになりやすいのは、私にもよくわかります。しかしそうなら、そうした稼ぎが低いと思われる人材はもともと雇わなければいい。雇った限り、雇った側の責任がある。
会社がより稼ぎのいい人材を雇いたいのは当然です。しかしそうした稼げると思える人材が簡単に見つかり雇えるのでしょうか。稼げる優秀な人材であればあるほど、他社の給与のいいところに定着しているはずです。むしろ働いてもらえる人は、まだ十分に稼げない人と思ったほうがいい。
先のような考えはヒトを使う側の都合のいい論理にしかすぎないのです。
今は使う側ではなく、使われる側の人(すなわち従業員)の論理や心情がより大事になっています。もし先のような考えを社長が前面に出したなら、会社で働いてもらえる人を確保することは難しいでしょう。またどうにか確保できたと思えても、期待を裏切られることが多いと思います。
人件費を単にコストと見なしたら、成り立たない。もっと言うなら、人件費をコストとみなす考え方自体がもはや成り立たない!と言うことです。
社長は「能力の不十分な人達を集めて(働けない者稼げない者でも)、成果を上げられて稼げて、高い給与を払える」会社にすることが必要なんです。それが実現出来たなら、まずなにより従業員がやる気になります。さらにより高い潜在能力を持った人材も集められるし、そうした人材も自然に集まってくる。そうなればより会社を成長させることが出来、さらに優秀な人材が集まってくることになる。
人は貴重な経営資源。だからこそ、人を今の実力以上に活用して、より高い付加価値を実現し、より高い待遇を提供できるようにする、ことが大事。そのことこそが会社の実力であり、それが出来る会社が繁栄する、と言うことです。
―より高い給与を払うための対策―
ではそのためにはどうしたらいいか。
会社の人件費を切り下げて泥沼の価格競争に陥ってしまうような戦いは、絶対に避けなければなりません。(牛丼チェーンの「すき屋」の最近の事例が典型でしょう。)
一つには「人を活用して、より高い付加価値を生み出せるビジネスモデルを徹底して追求する」こと。量や効率を武器にするのではなく、どこにもないオリジナルな魅力を磨いて武器にする、ということです。モノだけ、設備投資だけを考えたビジネスモデルは、結局価格競争の規模の戦いになって消耗戦に陥っていくだけでしょう。
今一つは、そのための人材を活用する総合的な戦略を組むことです。特に「人材を育成し活用する会社独自の仕組みと運営方法を構築する」こと。できればソフト的な仕組みだけでなく、ハードとしての独自技術や製品組み合わせも考える。そうなれば、ハードとソフトを組み合わせたその仕組みは会社の差別的な強みになるはずです。
例えば、自社でより高い付加価値を生むオリジナルな設備機器道具を開発し、その活用ノウハウを蓄積して、教育システムをまで作り、フランチャイズで全国展開を図る。成功事例の横展開等、そのフランチャイズの運営ノウハウも、独自なものを開発する・・等と言った事も考えられるでしょう。
(例えば「マトリックス営業戦略の『(領域)複合化戦略』」もまさに、ソフトとハードの組み合わせになります。)
◎『社員により充実した満足できる人生
を提供できる企業が繁栄する。』
◎『社員が、お互い自ら学び合い、より成長する企業が繁栄する。』
以上を考えるなら、上記2項があてはまる企業が条件であることは自明のことですが、どうもそうなっていない企業が多い気がします。むしろ、それが出来ていないことが会社の業績不振の根本原因になっている、あるいは業績不振から脱皮できない一番の原因になっている、とさえ言える会社が多いのではないでしょうか。
皆さんの会社は、条件にあてはまっているでしょうか。
―精神論だけでは、何も変わらない!変えるのは経営トップの情熱のみ―
ここで言いたいことは、上記のような条件に当てはまる会社は、自然に出来上がるわけではないということです。経営トップばかりか多くの幹部社員のみなさんも、上記のような会社を作りたいとはおっしゃりますし、実際そう思っているでしょう。しかしそのための具体策となると、多くの企業のトップ幹部は、社員のモチベーションが低いとか、レベルが低いといった話に終わっています。あたかも社員自身の問題であって、会社は関係ないがごとくの言い方をする場合が多いのです。
だからダメなんです。社員の人生に責任を持つのは会社であり、学びの場を作り成長を促し、成長がより促進されるようにしていくのは会社の役割です。モチベーションを個人の所為にしたら、会社はいらないし、社長や幹部もいらないのです。
経営トップであるあなた、社長がなによりもその実現を求め、そのための具体的で複合的な対策をしつこく情熱持って進めていくことが必要だと言うことです。
では対策はどんなことが考えられるか。それぞれの企業のビジネスモデルや理念・文化にあわせて独自に考えてほしいと思います。ここでは、どの企業でも考えられる具体対策を挙げてみました。
◎具体対策として
⇒①『お客様の喜び』『社会へのお役立ち』という会社の理念の中身を鮮明にして、
現場でも常に確認し、各人に徹底してもらう。
実際に、お客様に喜んでもらえる工夫を常に考え実践する。またお客様に喜んでもらえたら、その内容をみんなでシェア―する。
②疲れない会社、余裕もって頑張れる会社をつくる。ハードワークと休養のメリハリをつけた、個人の生活状況にあわせた働き方が出来る職場を設計する。
③職場のみんながお互いに切磋琢磨しながら、人格を尊重し賞賛しあう風土と仕組みをつくる。(月次、半期でのMVP制度等)
④自己成長がはっきりわかり、認められる仕事の進め方や、能力アップにあわせた役割分担を設計する。
(期待する仕事のランク付けと習得状況の検証評価システム、能力アップにあわせて職務内容がアップし、待遇にも反映する人事システム等)
⑤お互いが自由な形で主体的に参画して学び合える定期的な場をつくる。
一方的に教えるとか、マニュアル通りなに実行を強制するだけでなく、お互いにどうすれな成果が出せるのか、自由に話し合って実行して行ける場を作る。
(例:QC活動、営業ロールプレーングによるお互いのアドバイス、評価研修。
社員によるマニュアル作成プロジェクト、全員参加の営業作戦検討ミーティング・・
成功事例紹介と優秀賞の設定、各種表彰制度)
参考:『ここまでやれ!<儲け>を生み出す営業部隊づくり』(清話会出版)より
『表彰制度の工夫、充実』
1.表彰制度のテーマ
◎業績表彰 ――・業績成果評価
―・新規開拓成果、新規提案評価
―・商談成果(重点商品、大型商談、
企画商談)
―・開発貢献評価
―・
―・チームプレ―評価(社内貢献評価)
―・能力向上評価
―・その他改善、貢献評価
2.日、週、月、3~6カ月単位での表彰、その他のしくみしかけ
①日単位
ⅰ.社内感謝カード
・日々、仲間から助けてもらったり、勇気づけられたりしたら、その度に感謝の言葉を書いたカードを書いて、(全員の見えるところで)その仲間のプレートに張り付ける。
ⅱ.朝礼等の場での、前日の成功事例等の発表
②週単位
ⅲ.週間ベスト販売賞、ベスト訪問開拓賞等
ⅳ.前週での成功事例発表と新規努力事例発表(その分析、共有、横展開)
③月間単位
ⅴ.月間ベスト販売賞、ベスト訪問開拓賞
月間重点商品販売ベスト3賞、ベスト粗利(利益、稼ぎ)獲得賞
ⅵ.月間「とってもがんばったで賞(感謝賞)」
④3か月成果表彰
ⅶ.キャンペーン成果発表と表彰
・最高獲得賞、重点商品販売賞。優良顧客開拓賞。最高粗利獲得賞
ⅷ.3か月表彰(四半期)
・チャレンジ業績目標達成賞。最高粗利達成賞(当月までの累計粗利獲得額)
紹介件数獲得賞、新規開拓賞、重点販売ベスト3賞
ⅸ.その他、改善改革推進賞
・重点課題テーマ達成賞(粗利率改善、営業効率改善、回収、返品、クレーム削減・・)
・成功事例表彰(ベスト3賞)
・CS評価賞(お客様の声)
⑤6カ月~1年(半期、年度)成果表彰
ⅹ.年間MVP賞(ベスト営業成果賞)、年間ベスト能力向上賞、特別企画開拓賞
お客様満足(CS)№1賞、ベストチーム賞、プロジェクト表彰、
コンサルテーション大賞、開発貢献年間ベスト賞、業務改善大賞、その他
以上
追伸:
経営や事業推進に関し、ご質問をお待ちしています。
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